tossy

アヒルが、ガーガー

答え合わせの後/連続性

2022年5月。帰省もせぬまま酒と過食に溺れたゴールデンウィークを経て、突然ではあるが、ずっと前から「やりたい」と考えていたパーソナルトレーニングに通い出す。ゆくゆくは一人でジム通いができるよう習慣付けることを目標に、トレーニング方法や食事の指導をしてもらいながら、週に2回ウェイトトレーニングに取り組み始める。タンパク質を多く摂取する食生活もトレーナーさんに会う日々がモチベーションとなり、お盆に帰省する頃には「これくらいの身体が維持できればいいのに」と思えるくらいの状態に到達できた。全治3か月などと思っていたので、予定通りの出来事だった。

2022年7月。一昨年からひとつの目標としていた、仕事先での正社員登用手続きがようやく進む。かつて退職した会社で、しかしここ約一年半(見た目の上では)コンスタントに業務を外注スタッフではありながらも取り組み、それを踏まえての正社員化。再度この会社と関わっていくと決めたときからの目標であり、業務量やリモート前提の働き方から言っても「社員としてやっていくほうが良い」と自他ともに納得し合えた上での正社員化だったので、時間は要したが予定通りの出来事だった。

2022年7月末。住んでいる賃貸の更新タイミング的に「決めるならここしかない」という数日間に、重い腰を上げて新居を探し、内覧に行って申込をする。正社員の雇用契約を済ませていたということも、審査の上で大きな要素であった。

2022年8月。共に働くチームも、社用アカウントも変わらないまま、社員として仕事をし始める。前月に大きな仕事が終わったタイミングやったり、帰省が挟まったりで、今ひとつガツンという仕事がないまま、新居の契約などを進めたりする。帰省先で一人ジムに行ったりなども、予定通りの範囲内ですることができた。

2022年9月。家族が手伝ってくれつつ新居へ引越し。以前の部屋より随分と広い物件を選んだため、慣れない感じもありながら、少しずつ必要なものを買い足したりしつつ、部屋を綺麗に保つにはどれくらい掃除など意識すべきかなど迷いながら過ごし始める。急いでどうこうする話でもないので、今ひとつ注力できない仕事をぼちぼちと取り組みながら、予定していた範囲内で新たな暮らしを始めて行く。

2022年9月末。新居の広さや小綺麗さになかなか落ち着かず、どうも今の仕事に主体的な意識を持てる取っ掛かりが見出せず、加えて季節の変わり目からか新生活に感じるプレッシャーからか寝付きが悪く、飲酒量が増えたり、トレーニングをし始めてから回数がグッと減っていた過食が連日戻ったりする。パーソナルトレーニングは前の住居近くにあり、通える残り回数も少なくなっているので、まずは新居近くのジムへと通い出すものの、なかなか頻度が上げられない。

そして2022年10月。今。不眠から逃げるための過食が金土日と連日続き、パンパンに浮腫んだ憂鬱の月曜を迎え、少し我に返る。ここまで書いてきた、何というか「予定通りに物事が進み、設定していた目標が自然に満たされていく」期間が終わり、その後の変化に対する戸惑いの時期も「あんまり長く続けててもなぁ」という気になり、その結果として眠気が取れない、次の目標が仕事的にも生活的にも見当たらない、ある意味で本来の怠惰な自分が、やけに広くて綺麗な部屋にポツンと取り残されてしまったような感覚がある。

社員として働くことについて、さあこれからどうして行きたいのか。安定した雇用が確保されることが大切やろうというところまでは考え、その先はまた考えようとしていただけなので、今のところポカーンとしながら与えられた仕事をやっているだけ。もちろん答えは「やりながら考えて行けば良い」しかないことは分かっているが。

生活について、在宅で仕事をしてもストレスじゃない広さが欲しくて、実際それを確保することができた。新居のことはとても気に入っているが、別に広い家に住んだから自分が自然と大きくなるわけでもない。前の住居が広さや環境的に限界やったことは認めるが、じゃあ新居に相応しい自分であるかというと、やっていることはまるで変わらないまま。

以前の生活と連続性が絶たれているわけじゃない。ただ、予定や目標に則って過ごしていれば自分の前に良い変化が次々やってきてくれるという、なんというか「答え合わせ月間」みたいなものが数ヶ月続き、疲れてもその日々から容易く得られる多幸感みたいなもので気楽に過ごせる期間が、ここ10年くらいの自分にまるでなかったものだったから、その蜜の味がまだ舌に残っているんだろうとは思う。

それが終わった落差と、実際問題として新生活へ適応がまだ進んでいないことへのストレスや、社員として長く会社に関わっていくことへの不安などから、過食が続いたのも理解はできる。過食は10年よりさらに長い期間にわたって自分にある習慣なので、それはそれで連続性とも言える。

とは言え、トレーニングすることや、自分に罪悪感を残さずにいられる食生活も、新しい武器として身につけたはず。そこそこ油断もしながら、それらをまた再開していけば、そう大きな問題にはならない。今年5月からの取り組みと、今の自分との間にも、連続性は確かにある。ベンチプレスする時の景色だって少しずつ見慣れてきたじゃないか。

変化に身を委ねていれば良かった期間は一旦終わり、ようやく我に返ったのが10月だった、ということであったとして、まずそれを落ち着いて認識するところに立ち返らないと、未来のこと何も考えられへんなと思い、久々にブログを書く。

(ずーっと答え合わせ月間みたいな日々が続けばいいのに、とは思いたいが、実際そうは考えていなかった気がする。ここ数年取り組んできたことの辻褄があったことは、環境的にも金銭的にも大変な幸運やったと思うけど、どこかやっぱりそういう日々は長く続くもんじゃない、続いているように見えるならそれはどこかに嘘や綻びがあるものやろう、と薄らは思っていたんじゃないか。何事もちゃんと一旦の終わりが来て、我に返るタイミングは来る。それが「今回は10月がそのタイミングやったね。確認オーケー」とすることで、次にやることをちょっとずつでも考えてみたい。いつまでも浮ついていてどうするよ、日常へ回帰しなはれ、いい加減に)

(あるいは、今の自分では想像できないような、より大きな質的変化に立ち向かっていくため、まずは自分が自分に起こせる変化にはここまでで取り組めたものの、しかしここからの変化は、他者を交えてのものであってほしくて、でもそこには想像通り・予定通りには進まない偶発性もいっぱいあるやろうし、そもそもそんな変化が起こるんか?という気持ちは超大きく実感としてあるし、でもそういうのが次の「未来」であってほしいよな、とも浅はかに思ってしまうが故、広い部屋に一人残された寂しさに目が覚めた、ということなのかもしれない)

私的 2021 年ベスト 21 曲

毎年の自分を振り返るために書き続けてきたこのシリーズ。とっくに 2022 だが公開しておきたい。

Higher feat. iann dior ─ Clean Bandit
(Dan Smith, Jack Patterson & Michael Olmo)

2021 という一年を通して何故か何度も何度も聴いていたのが Clean Bandit の音楽。特に年初、感染症拡大で観光客も少ない京都の街を歩きながら、この地を愛する彼/彼女らの音楽が、透明な空気と寒さをまとった古都の様子や、静かな街並みの中から人々の営みを思うような気持ちにぴったりやなあと改めて感じたのがきっかけやと思う。時には自分自身や、大切な他者を、静かに祈るような/願うような気持ちを大切にしたいという感情を後押ししてくれる音楽性が、僕にはとても希少な存在。この楽曲もそういう Clean Bandit の届けてくれる、静かで美しく激しい感情を描いていて、よく聴いた。

How Will I Know ─ Whitney Houston × Clean Bandit
(George Merrill, Shannon Rubicam & Narada Michael Walden)

前述した Clean Bandit のテイストがホイットニーの、彼女が活躍した時代における若者のみずみずしいダイナミックな(抑えきれない)活力を表現した楽曲に乗った、どちらの良さも感じられる一曲。好みの曲調で聴くと単純に元気に・ハッピーになれる曲で、ふと入ったお店で流れていたりしてちょっと嬉しい気分になったり、良いイメージが多い楽曲やった。

Stronger ─ Clean Bandit
(George Moore, Grace Chatto, Jack Patterson & Oz Moses)

リリースからかなり年数が経っているのに、今になって他の楽曲以上に聴いた一曲。最初のサビ終わり、間奏に入ったところでハイハットが 3 回鳴らされる箇所が「このハイハット三発を聴きたいがためにこの曲を聴いている」と言ってもいいくらい好き。"Higher" とも "Rather Be" とも通じる、まさに Clean Bandit ここにありという感じの楽曲。

what you do to me ─ 53 Thieves
(Daniel Ely, Conor Jordan, Jessica Clarke & William Lewis Price)

起きる〜仕事する〜お酒を飲む〜寝るまでが狭い自宅で完結する毎日を送った一年。基本的に音楽は Apple Music で Electric とか Chill とかのプレイリストを流すのがファーストチョイスやった。よく流すプレイリストに入っている楽曲はどうしても再生数が増えてしまうので、結果として耳にこびりつくことになる。そういう(ここにはあまりリストアップしなかったが)とにかく何回も聴いた楽曲のうち、ふと「ええなあ」と思えたのがこちらの楽曲。テンポが速くない、品性を感じられるようなドロップがある曲は相変わらず好き。

月に吠える ─ ヨルシカ
作詞作曲、編曲 (Words and Music): n-buna / Vocal: suis

知識も固定観念も持たず初めて聴いて、後に特徴的な歌詞は萩原朔太郎氏の詩集をモチーフにしていると知ったが、それ以上にビートの作り方(特にすき間の設け方)が実はめちゃくちゃヒップホップ(的な側面を個人的に感じられた)ことが気に入った一曲。主役のボーカルとギターをしっとりと聴かせてくれる、でもソリッドでクールな印象もあるトラック。その調和させる感覚と能力が素敵。

アストラ ─ 内田真礼
作詞・作曲:Δ / 編曲:Δ・y0c1e

内田さん自身が「ここまで低い声で歌うことは少ない」と紹介していたように、トラックもメッセージも彼女のボーカルも低くて重い。そこから明るさを求めようとする方向へと、楽曲としても展開を増やしながら、時間と手間とリフレインをたっぷり用いて曲を締めくくっていく。初めて聴いたときから、内田真礼さんの/アニソンの、といった括り関係なく、物事の進め方・語り方みたいなところがすごい好みやと、かなりたくさん聴いた一曲。

ユメヲカケル! ─ TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』
作詞:マイクスギヤマ / 作曲・編曲:東大路憲太 / 歌:スペシャルウィーク(CV 和氣あず未サイレンススズカ(CV 高野麻里佳トウカイテイオー(CV Machicoウオッカ(CV 大橋彩香ダイワスカーレット(CV 木村千咲ゴールドシップ(CV 上田瞳メジロマックイーン(CV 大西沙織

ゲームからではなくアニメからウマ娘へ触れた(結局あまりゲームはやっていない)身として、トウカイテイオーメジロマックイーンの関係性で多くの大人をボロボロに泣かせたその記憶を私にも思い起こさせる一曲。関連楽曲で再生した回数で言えば『うまぴょい伝説』や『GIRLS' LEGEND U』のほうが多いけど、この IP が持っている魅力の底にある、丁寧でリスペクトあるキャラクターの描き方についてこの曲はしっかりと伝えてくれるのが素敵。最後のサビ「走りまくれ もっと」部分で一度落として、そこからグッとラストスパートをかけていく展開がこのコンテンツらしくて非常にグッと来る。

オペラ劇場・『嗚呼それが我が宿命』 ─ アニメ『うまよん』ミニアルバム
作詞:伊藤仁 (Cygames) / 作曲・編曲:久保早瑠菜 (Cygames) / 歌:テイエムオペラオー(CV 徳井青空フジキセキ(CV 松井恵理子マルゼンスキー(CV Lynn)スマートファルコン(CV 大和田仁美)

曲とも言えるし、アニメの一話まるまるサウンドトラックとも言える、掛け合いが楽しい一曲。ある数日ずっとこの曲をリピートしながら仕事していたときがあり、やけに気に入っている。

KU-RU-KU-RU Cruller! ─ Aqours
作詞:畑亜貴 / 作曲:Kanata Okajima, Soma Genda / 編曲:Soma Genda

仕事で触れたことがきっかけで知った一曲で、イントロの入りからシティポップの人気再燃をしっかりとアイドルソングに生かしたことを感じられて、それが自分の好みに合っていた。人気ゲームアプリ:モンスターストライクとのコラボ施策のために作られた曲だが、小洒落たポップスを敢えて選んだチョイスが良い。

off ─ 東山奈央
作詞・作編曲:三浦康嗣

フィールドレコーディングで集めた身近な音で曲を構成する三浦さん楽曲として、2020 は『記憶 ─ イヤホンズ』を取り上げたが、2021 はその三浦さんが「ビートは東山さんが録音した彼女の日常の音だけでつくりました」という曲に驚かされた。これは音楽にしかできないコンテンツの在り方そのもの。

って feat. SONOMI ─ KREVA
Words & Music by KREVA

音楽を作ること。お客さんの前でパフォーマンスすること。つくづく KREVA 氏の生活や頭の中にはそれが中心にあり、その活動を止めざるを得なくなったからこそ日々の思考が漏れ出たようなアルバムが届けられた。中でもこの曲はトラックもテンポもラップも、彼にしか作れない音楽を、でも肩に力を入れず「ほどよく単調に、でも技巧をたっぷり生かして」まとめ上げている一曲で、アルバム内でいちばん気に入った曲になった。ラップを口ずさんでみると分かるが、テンポの取り方・言葉の詰め込み具合・音程のバリエーションがめちゃくちゃ富んでいて、僕には全然歌いこなせない。

Future Is Born (Live on MTV Unplugged: RHYMESTER, 2021) ─ RHYMESTER
Produced by mabanua / Lyrics by 宇多丸, Mummy-D, mabanua

天候に恵まれた暖かい春や、外に出て(実際にそうするかはさておき)動きたいなと思えるような暑い夏。でも外出や行動をすることがあまり望ましくない日というのも 2021 は多く、そういう中で同じ音楽で踊ることや感情を集わせることを、大人なライブパフォーマンスで届けてくれたライムス。未来のどこかでこのライブ盤を聴くときっとこのコロナ禍を思い出すだろうことは、ライムスを聴くと大学時代を思い出すのときっと同じことなんやろうなという気がする。

ひかりのディスコ ─ CAPSULE
Words, Music & Produce : 中田ヤスタカ / Vocal : こしじまとしこ

上記のライムスと似て、サウンドとボーカルを聴いた瞬間、人生のある時期へと一気にトリップさせてくれる CAPSULE の新曲。かつて『レトロメモリー』という名曲があったけれど、エレクトロニックなサウンドで温かみを感じられる楽曲を作ることについてヤスタカさんは本当に長けているし、中でもこしじまさんと組んだときは制約なくその魅力が引き立っている(と感じられる)ことが多い。

Nirvana ─ dodo & tofubeats
prod: 10goqstudio, tofubeats

ここから tofubeats 氏の関連楽曲が並ぶ。まずは「ナードなポップス・ラップミュージックの良さ」を、トラック・楽曲モチーフ共に感じさせてくれる一曲。ニルヴァーナをテーマにしたのは、意外とあっさりとした理由なのか、それとも深い境地を扱いたかったからなのか、そのあたりはよく調べていないので分からないけれど、能力あるミュージシャンが集まって「おもろいことやろう」って作ったのが、良い意味でこんなにナイーブな曲というのがとても好き。

SMILE ─ tofubeats
Produced by tofubeats

本人名義の楽曲としては「音楽をいつも聴いているだけ」なトラック・ラップ(やっぱいいよね)・自作のミュージックビデオがいずれも「信頼できるなぁトーフビーツくん」というこの曲が印象的。メジャー 1st アルバムのラストトラック『20140803』の再来的な印象。

free me [Rearranged by tofubeats] ─ butaji
(butaji)

この楽曲はシャワーを浴びながら流していたプレイリストに入っていて「めちゃ印象に残ったあの曲、誰の作品や?」と後から調べたら、トーフくんがリアレンジしたものと知って「やっぱ彼のサウンド好きなんやな」と改めて思わされて驚いた。敢えて「ダンサブルにしよう」としなくても素敵な原曲やと思うけど、終盤へ向けてたたみかけていくトラックは、歌っている内容も違った印象に感じさせてくれるので面白い。

One feats. tofubeats ─ STUTS
Produced by STUTS / Written by tofubeats, STUTS / Violin: Anzu Suhara / Cello: Junpei Hayashida

トーフくん関連では年内で最後に聴いた楽曲やけど、まさかの STUTS くんラップ!というのもスムースで好ましい、さわやかで前向きな一曲。この曲は STUTS くんの素直な音楽や物事へのスタンスがストレートに表現されていて、ストリングスも清潔で品がある印象に貢献しており、何回も聴いた。彼らはこうして曲を作って彼ららしく社会とつながっているのだから、自分もやれることで世の中と(うがった見方に支配されすぎず)関わろう、というような気分を持たせてくれる。勇気とか気概の話なのかもしれない。

doyu ─ iri
作詞:iri / 作曲:iri, TAAR / サウンドプロデュース:TAAR

彼女は歌っていてもラップをしていても唯一無二なスタイルを感じられて、弾き語り的な楽曲もすごく好き。でもグルーブ感に富んだトラックで自由にそのスタイルを魅せてくれるこの楽曲は、初めて聴いたときから耳に残って気に入っている。iri さんについては曲の表情というか、面構えというか、そういうのが生理的に好きなんだと思う。

燃えよ ─ 藤井風
作詞:藤井風 / 作曲:藤井風 / 編曲・Arranger:Yaffle

2022 へと向かう年末年始によく聴いていた一曲。彼の最新曲たちはどれも素晴らしいが、中でも特に「これは風くんにしか作れん」という印象が強くて気に入った(今回のコメント同じことばっかり書いてる気がする)。彼ほど美しい歌声と能力を持ったミュージシャンが、人間くさいどうしようもない部分や泥臭い生き方へ、しかし万人に届く格好良さを持って光を照らす楽曲を作ることに、僕はいつも賞賛したい気持ちが尽きない。

Dynamite ─ BTS
Written by David Stewart, Jessica Agombar / Produced by David Stewart

しんどい日を乗り切った自分を(内心で)賞賛したり、その日に溜め込んだ心の中にあんまり長く置いておきたくない感情をお酒と共に流し込んだり、酔いがまわって部屋で(ひとりで)小躍りしたりするには、その傍らに「完全無欠で時代が歓迎したポップソング」が必要となる。2021 におけるそれは、彼らの "Butter" や "Permission to Dance" も、Bruno Mars "Skate" も最高に良いが、僕は何故か "Dynamite" になった。作曲者のインタビューでプロデューサーに「ジャミロクワイや」と言われて 2 日くらいで作った楽曲というのを見かけ、なるほどなと。ありがたかった以外の言葉が出てこない一曲。

VOY@GER ─ THE IDOLM@STER FIVE STARS!!!!!
作詞:烏屋茶房 / 作曲・編曲:井上馨太 (MONACA) / 歌:天海春香(CV 中村繪里子菊地真(CV 平田宏美四条貴音(CV 原由実塩見周子(CV ルゥティン)新田美波(CV 洲崎綾)久川颯(CV 長江里加高坂海美(CV 上田麗奈)白石紬(CV 南早紀)望月杏奈(CV 夏川椎菜)鷹城恭二(CV 梅原裕一郎黒野玄武(CV 深町寿成)古論クリス(CV 駒田航)有栖川夏葉(CV 涼本あきほ)黛冬優子(CV 幸村恵理)浅倉透(CV 和久井優

かつて 2015 年に『アイ MUST GO!』という楽曲が 10 周年を祝う楽曲として制作された。当時の自分は思うように調和を自分の生活と精神状況にもたらすことができない中、その曲を思いや願いを込めながらよく聴いていた。それから 6 年が経って、相変わらず同じように悩むこともありながら、まだ自分の足で立とうと生きた 2021 年に、センターピースとして聴いたのがこの曲だった。タイトル『VOY@GER』とあるように未踏の宇宙へ挑んだ試みになぞらえた歌詞も、強烈なドロップを備えたトラックも、まあ簡単に言うと聴いていて泣いてしまうような情念を僕に与えてくれる一曲だということ。まだまだ旅の途中、不幸な途中下船をしなくて済むように、祈りながら 2022 年も過ごしたいところ。

それでも12月はやってくる

自分が書いたエントリーや文章を読み返すことをあまりしないが、ここ数日何故か読み返していて、ぼんやりと何か書きたいなと思って久々に編集画面を開いている。仕事の真っ最中だが、気が向いたんやからまあええやろ、という気持ちで。

昨年の今頃に書いたもの、一昨年の今頃のもの。振り返るとそれぞれ自分の状態も違っていて、そもそも過去2年は仕事すらしていなくて、あまり時間が経っているというわけでもないのに、今の自分と比較して不思議な気分になる。

どちらの自分が(無職の自分/今の一応は仕事している自分)本来の自分らしいかと自問すると、判断に迷うところはあるものの、職場が自宅になり、大げさな目標や期待をなるべく抱かないようにして、とにかくその日その日を乗り越えることに徹する今の自分は、つまり「仕事はしているが無理しすぎていない自分」という姿に、少しずつ近づき始められているんじゃないかという感覚が、ぼんやりと持てるようになりつつある、と思っている。

まだヨチヨチ歩きレベルという自覚を捨てたくないので「やったやん、無理なく生きられる感覚を獲得できそうやん」と言い切るのは自信がないし、一寸先は闇というか、いきなりガラッとそういう感覚が減衰する懸念もあるとは思うので、あくまでも「持てつつあるのでは?」程度ではある。でもこれは、やっぱり今までにはなかった感覚や、とも思う。

現実感を伴って、そうした「求めていた感覚」を持てつつあるように思う一方で、そのことへ自信を持てないのにはいくつか理由が思い当たる。

  • まず感覚の発現が今年に入ってからのことであり、まだ継続期間が短いこと。無職や無理が優勢やった期間のほうが圧倒的に長いわけで、そう容易く「これで当面は行けるんちゃうか?」とは思いづらい。
  • フルリモートという環境、コロナ禍の影響で出社や移動が制限されている状況など、あくまでも現状のこれは環境依存的な感覚に過ぎないのではないかという疑念(実際これは事実やから疑いですらないんやけど)が払拭できないこと。じゃあオフィスで働けますか?朝、電車に乗れますか?という質問には、むしろ日に日に「やりたくないよもう」という気持ちが先行してしまっている。
  • 人生でほぼ初めて貯金があること。昨年の今頃、一昨年の今頃、あんなにお金がなくて困っていたのに、何故か今は(同属性の同世代からするとずっと少ないやろうけど)自分史上初と言ってもいい貯蓄がある。結局お金の不安が減ると「まあ、すぐに死ぬことはないやろ」みたいに自然と思えてくるという話なだけでは、という。

継続期間の短さはともかく、集約すると「求めていた感覚を得られつつあるように思うが、あくまでも環境や状況がそれを許してくれているからに過ぎず、自分にとって都合が良い状態が変化したら、結局はまた自分の生活からこの感覚もこぼれ落ちていってしまう程度のものではないか」という疑念が尽きない。

しかし、環境依存的ではない実感というのも、文字にしてみると違和感があるのも事実。社会や文化や収入、人間関係や働き方や仕事で感じる摩擦の大小、体調や気候。それらと切り離して持てる実感があるなら、多分それはカルトとか陰謀論とかの閉じた思想によるものでしかない。要は程度の問題であり、その中で自分の能力や意欲の範囲で調整できる状態を、なるべく保てるかどうかが大事なはず。

この内的議論をステップアップするなら「今ちょっとずつ持ち始められつつあるような大切にしていきたい感覚を、多少の環境変化があっても、自分はどうやら一定は保てそうだ」という感覚を、自分の中に生活を営む中で育てていけるかどうか、になるか。

現実味があって、でも大切にしていきたい、失いたくない感覚だからこそ、どうしたら少しずつでも育てていけるのか。それを無菌室とかではなく、実際の社会や仕事と相まみえながら、自分の中で増幅していけるか。ここに僕の今年の、おそらく来年以降の、戦いのテーマがあるんじゃないかという気がしてくる。してくる、というか、これを書いていてしてきた、が正しいか。

多分これまでにも「この感覚で当面はやっていけそうだ」を得たような気分になった瞬間はあった。でも、それを自分のせいで早々に失ってしまって、それを何回か繰り返して、だから自信が持てていない。この失敗のループによって自信がないことについては、自信を持って「そうだ」と言える。では何故、今の感覚については「これまでのそれらとちょっと違うんじゃないか……?」という気になっているのか、その理由らしきものもいくつか列挙してみたい。

  • 仕事や生活をしながらも、十分にサボっているから。寝過ごしたり、食べ過ぎたり、次の日に仕事あるのに眠れずに朝方でもお酒を飲んでいたり。これだけ手を抜いたりしながら、でも仕事できているっぽいし、そしたらもうそれでいいんじゃないかという。
  • 長年お世話になっているカウンセラーさんが、ひとつの達成を得たのではないか?という前提で話をすることが増えているから。カウンセラーさんの目線からして「やはりこれまでと今のあなたは違うし、その違いにご自身で気づいていなくても、そのことを観察してあなたに伝えるのが私の仕事だから」という発言が何度もあると、そう思ってもええのかなぁ……という気になってくる。
  • 内向き:無気力な自分/外向き:躁的防衛をする自分という線引きをしながら他者や社会と関わろうとすることを諦めつつある気持ちが増えてきている感じがあるから。そりゃあ今でも仕事の席であたふたすることはあるけれど、でも「そういうの、もうやめたいな、頑張らないと仕事したりコミュニケーションしたりできないのって、やっぱり違うよな」という。でもこれもリモートワークなどで対面の機会が減っているから、こんなふうに思えてくるだけかもしれないし、単に年齢の問題かもしれないし、半信半疑ではあるけれども。

自信が持てない理由は環境側の話で、大切にしたい理由は自分の話。答えはないけど、列挙した内容はどちらも今の自分を考える上で役立つようには思う。多分また来年の自分がこのエントリーを読むと、その視点からの種明かしがあるんやろうし。疑念/事実として分けて書いているが、でも互いは常に関わり合っているし、相互作用によって内容はまた変わっていくのも事実。

ひとつだけ確かなのは、来年の自分は、今よりも良いか悪いかは分からないけれど、変化しているということだけは間違いないということ。それを期待して待てるか、ワクワクできるか。少なくとも今年の自分は「なんか良いほうに変化すればいいな」という気持ちは持てている。このこと自体は、やっぱり喜んであげたいなと思う。

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適応度ランドスケープ(Fitness Landscapes)(Gavrilets, 2010の図3.3)

(a)のように生き物の適応度は環境条件によって変化します。(b) のような単一の基準で適応度が決まると考えるのは「神話」にしか過ぎません。

この適応度ランドスケープの図を、我われヒトに当てはめてみるとどうなるでしょうか。人びとが相争う現実の競争社会では、ひとつの基準で測った「成果」とか「達成度」とかいったものが尊ばれるのでしょう。しかし、我われが実感する社会は、ひとつの基準だけで生活しているわけではありません。仕事だけでなく、人には趣味やくつろぎの時間が必要です。一人の個人の中でも複数の基準が存在するのですから、多くの人がいる場合にはなおさらです。人間にはいろいろな才能があります。それが人間の多様性というものです。

色んな/矛盾するような自分が、同じ時間や場所に同時に存在して良いし、そこを自分の欲求に基づいて行き来できる状態に近いところで、可能なら生活をしていたい、ということかなあ。自由と遊びの確保というテーマは、相変わらず続いていきそうではある。

私的 2020 年ベスト 20 曲

年末に毎年まとめるつもりをしていて、去年は意図的にサボり、今年復活。実際は Apple Music の色んなプレイリストを曲名も見ずに流している時間が圧倒的に多く、並べた曲は印象が強かったものという意図やったけど、結局好きな音楽ほとんど変わってないという話になった。しかし微妙に新しい部分とかもあるにはあるので、そうやって少しずつだけ変わりながら人間生きていくものなんやなというふうに捉えたい。

FIND YOUR WAY BACK (MELO-X Remix) ── Beyoncé
(Beyoncé, Brittany "Starrah" Hazzard, Bubele Booi, Robert Magwenzi, Abisagboola "Bankulli" Oluseun, Osaretin Osabuohien)

Underdog ── Alicia Keys
(Alicia Keys, Johnny McDaid, Ed Sheeran, Foy Vance, Jonny Coffer & Amy Wadge)

Music Makes Me High ── The Avalanches
(Robert Chater, Tony Di Blasi, Andrew Szekeres, Nelson B Miller, S. Gardner & B. Rucker)

Dragonball Durag ── Thundercat
(Stephen Bruner, Steven Ellison)

Pomegranate ── deadmau5 & The Neptunes
(Pharrell Williams, Joel Zimmerman & Charles Hugo)

Get Your Wish ── Porter Robinson
(Porter Robinson)

きらめく ── 徳利
Prod by tofubeats

クラブ(CLUB) ── tofubeats
Chorus by kiki vivi lily / Produced by tofubeats

RUN REMIX (feat.KREVA & VaVa) ── tofubeats

タンポポ feat. ZORN ── KREVA
Produced by KREVA / Mixed by G.M-KAZ / Mastered by Chris Gehringer

夢追人 feat. KREVA ── PUNPEE
Produced by Nottz

Operation : Doomsday Love ── PUNPEE
Produced by PUNPEE

Cats & Dogs feat. カネコアヤノ ── KID FRESINO
Produced by Ayano Kaneko, Yusuke Sato, Takuro Saito, Shun Ishiwaka, Takuma Motomura, Kid Fresino / Lyrics by Kid Fresino, Ayano Kaneko

罪の香り (Flavor Of Sin) ── 藤井 風
作詞・作曲:藤井 風 / 編曲:Yaffle

Secret Daybreak (M@STER VERSION) ── 速水奏, 新田美波
作詞・作曲・編曲:烏屋茶房 / Starring by 速水奏(CV:飯田友子新田美波(CV:洲崎綾)/ Guitars: 和田たけあき / Bass: ふゆ / Strings Arrangement: 四条紅羽 / All Other Instruments & Programming: 烏屋茶房

ミラーボール・ラブ (M@STER VERSION) ── 宮本フレデリカ, 棟方愛海, 及川雫, 荒木比奈, 姫川友紀
作詞:MCTC / 作曲・編曲:TAKU INOUE / Starring by 宮本フレデリカ (CV: 髙野麻美) 棟方愛海 (CV: 藤本彩花) 及川雫 (CV: のぐちゆり) 荒木比奈 (CV: 田辺留依) 姫川友紀 (CV: 杜野まこ) / Instruments & Programming: TAKU INOUE / Chorus: 宮原ひとみ

ハートビートシティ ── 内田真礼
作詞/作曲:TAKU INOUE 編曲:kz(livetune)

ミルキータイムライン ── 水上 雛 (CV: 大森日雅)
作詞・作曲・編曲:Nor

記憶 ── イヤホンズ
作詞・作曲・編曲:三浦康嗣

最高速 Fall in Love ── ミーア、パピ、セントレア、スー、メロ、ラクネラ
作詞・作曲・編曲:ヒゲドライバー / Performed by ミーア(CV:雨宮天)パピ(CV:小澤亜李セントレア(CV:相川奈都姫)スー(CV:野村真悠華)メロ(CV:山崎はるかラクネラ(CV:中村桜)

それから一年後

ごめーん - tossy

今の部屋へ引越してきて約 3 年経って、今日ようやく掃き出し窓のカーテンを買いに行った。寒く乾燥はしてきているが、天候は良く、必要十分な買い物やった。

色々と滞っている事柄はあるものの、あまりに「気もそぞろ」でいては生活にならない。敢えて無視する、積極的に忘れようとする態度が、器の小さい僕みたいな人間には必要なんかなぁとか思う。それはズルではなく謙虚な処世術なんやと信じさせてもらいたい。

何もかも受け付けられへんような気分のときは相変わらず生じるけれど、浮いたり沈んだりする自分を恥ることなく、営みを継続していくしかないかなという昨今。

人生のイニシアティブを取れているなんていう心境は、けっこう疑わしいステータスなんちゃう?という気がする。追い立てられたり、負けを促されたり、というほうが、真実味があるように思う。

 

注意しながら自分を扱う。

  • 最低限やることをやって、他はあまり何もしていない。活動量と体力を向上させなければなあと思うものの、梅雨の期間真っ只中ということもあり外へ気持ちが向きづらい。
  • 対話の際に柔らかで、しかし明確な拒絶を示してきた友人を、見習いたいなと思った。何でも受け入れるのは実際の所その場をしのぐには楽なんやけど、ある意味において相手にも自分にも誠意を欠く行動と言えるのかもしれない。意識して、イエス・ノーの使い分けをできるようになりたい。
  • マンネリでやる気が起きづらい日々のなかでも、何日かに一回とか自由行動として「気が向く」瞬間がある。そこはなるべく見逃さず、行動へ移ったほうがいいなと感じる。その一環でたまにではあるが、掃除とかをしている。トイレ、キーボード、窓サッシの溝……などなど。
  • 洗濯物が乾きづらいシーズン。部屋干し・外干し・浴室乾燥機を活用して、何とか嫌なニオイが残らないように気を遣っている。オシャレして外出したり、決め込んだ服装で人と会う機会がめっきり減っているので、ほとんど部屋着みたいな服装ばかりを着て洗って干して着ている。何だか悲しい。
  • 間が持たなくてタバコを吸いすぎている気がするし、お酒を飲みすぎている気もする。
  • 近くのスーパーで売っているお惣菜で、れんこんチップス(ガーリック風味)がある。お菓子や炭水化物を抜いている期間なので、これがすごく嬉しい。あと、明星 ローカーボNOODLES 鶏がら醤油にもだいぶ助けられている。

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"SUGOI DEKAI"
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ストップ!安易な一般化

  • こういう先行き不安定な時期に、自分の活動において何が優先されるのか、そのうえで日々をどう過ごすのかという点については未だに最適解が見つからないものの、とりあえず太らんかったらええやろという信条だけは守ろうと努めている。
  • 「社会と意図的に距離を設ける」という方法で致命的な自滅を避けてきた(と言って良いのか?という疑いはあるが)わけだが、世の中全体がそういうことになると、果たして自分が引きこもっている意味ってなんなのかという気持ちに、ややなる。ただ精神的なディスタンスと、感染拡大を防ぐためのディスタンスは全然意味が違うので、結果としては同じでも、あまり混同してはいけないやろう。ストップ!安易な一般化。
  • 「やる気を出す唯一の方法は、どんなに乱暴でも適当でもいいから着手すること」というのをどこかで読んで、実際そういう導き方ってあるよなぁと思うことが増えた。
  • しょうもない日々の活動でも、心の動きでも、それが「今後のための訓練なのだ」と捉えると、少し意味が出てくるような感じがする。もっともそういうやり過ごし方しか思い浮かべられてへんというだけな気はするが。効率とか、向上とか、有価値さを意識し出すと、途端に嘘っぽく感じられてしまう。しかしまぁ、今はこれしかないからしょうがない。
  • 好きな曲の歌詞にも、感銘を受けた小説のフレーズにも、当たり前だが自分のこれからを指し示す何かなんて存在していない。筆を取って、どれだけ下らなくとも、どれだけ短くとも、自分の言葉を刻んでいくほかはないようだ。
  • いまの自分が捨てられるものって、なんやろう?