tossy

アヒルが、ガーガー

私的 2017 年ベスト 17 曲

年末なので私的恒例記事を。今年で 5 年目。通勤や仕事の最中に聴いていた曲ばかりなので、作業用ミュージックが今年は多い印象。個人的な感覚として、暗いときの音楽 → 明るくするための音楽、という順に並べています。

Don't Touch My Hair featuring Sampha ― Solange
S.Knowles, S.Sisay / Written, Arranged and Co-Produced by Solange Knowles / Sampha hook written by Sampha Sisay / Produced by Sampha, Solange Knowles, Dave Andrew Sitek, Patrick Wimberly, Brydon Cook

2016 の年末にリリースを知り、年初は自分をたしなめるように何度も聴いていた。文脈や背景を共有できていなくても、伝わってくる静かな怒りとでも言えばよいか。立ちはだかる出来事や課題に対する向き合い方として、根本的に共感したいトーンが音楽的空間として詰まっている作品。この曲が収録されているアルバム『A Seat at the Table』全体がそういうトーンを共通して保っていて、初めて聴き通したときはかなり驚愕した。

Theme Of Karin Kanzuki ― 小林啓樹
Composed by Keiki Kobayashi / Sound Director & Music Producer: Yukinori Kanda (CAPCOM)

格闘ゲーム (FGC) 界隈を追い続けた一年として、その幕開けを飾った一曲。神月かりんというキャラクターの高貴な立ち振舞いが浮かび上がってくるような、クールな曲調。小林啓樹さんが『ストリートファイターV』へ書き下ろした曲ではあと『Theme Of F.A.N.G』もすごく聴いた。

Snack ― 岡崎体育
Tracks & Lyrics written by 岡崎体育 / Arranged by 岡崎体育 / Produced by 岡崎体育

リリースされた時期は爆発的に聴きまくっていたアルバム『XXL』のなかでも、岡崎体育くんが日頃どういう目線で物事を見ているのかが、ありありと伝わってくるような悲しくも優しいこの曲がすごく好み。音の選び方がひとつひとつ丁寧で、歌詞のニュアンスをよく引き出している一曲だと思う。

LONELY NIGHTS ― tofubeats
Written by tofubeats / Rap: YOUNG JUJU (KANDYTOWN) / Vocal: tofubeats

tofubeats くんのアルバム『FANTASY CLUB』は今年の自分にとっての精神的支柱として完全に機能してくれて、そのなかでも頼りまくったのはこの曲が一番かと。それ以上にあまり言うことがない、ただただ生活を営むために必要とした音楽だった。

また波を見てる ― KICK THE CAN CREW
Words & Music by MCU, LITTLE, KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

音楽ニュース的に今年いちばん驚いたのは、やはりと言うか、彼らの再始動。新作となった『KICK!』は落ち着いた楽曲が多く並んでいるのが “期待を裏切りたがりがち” な彼ららしく、特にこの曲はよく聴いた。メッセージがどうこうというより、ひとつのネタ(題材)に対して三者三様の視点と言葉を交わす感覚が心地よく、KTCC ってこういう “いい意味でまとまりがないグループ” やったなぁということをすごく感じる。奇をてらわず、聴き手に明確な情景を思い起こさせるようなトラックも完成度が高いと思う。

あえてそこ(攻め込む)― KREVA
Words & Music by KREVA / Programming by KREVA / Electric Bass by 岡雄三 / Produced by KREVA

2017 年の “どん底” だった時期に何回も聴いた一曲。上記の『また波を見てる』にも通じるトーンがありながらも、こっちのトラックのほうがもう少し抽象度が高い。現状の KREVA 氏が手掛ける音楽として、個人的にはこういう曲調を(大衆性を満たすような曲にも引き続き挑んでほしいとはもちろん思ってる、それはそう、だけども!)伸ばして行ってほしい。

ゆれろ ― RHYMESTER
Produced by LIBRO / Lyrics by 宇多丸, Mummy-D

ライムスはすごい。こんなに安定して名盤を何十年も送り出せるって到底信じられない。LIBRO 氏の変則的なビートに、個人的にダイスキなテーマ(ブレてもいいしズレててもいい、的な)が気持ちよく歌い込まれているという完全なるアンセム。まだまだたくさんアンセム作ってほしいので、採点としては “5億点” でお願いします。

Scenario (Film) ― PUNPEE
Scripted by PUNPEE, Sugbabe / Music by A$AP P on the Boards / Additional Key by Natsuhiko Muraoka

アルバム『MODERN TIMES』はリリースを待ち望んでいた人たちを本当に完璧に満たした(それをハードル上がりまくっている状況でやり遂げた彼の凄さよ!)作品だった。アルバム全体の流れ(お話の運び方)にすごく遊び心と彼らしさが詰まっているけど、収録されている曲々が扇状に広がっているとするなら、その “要” になっているのはこの曲だと感じた。PUNPEE という極めて “丁重な自意識の見せ方” を備えたキャラクターと、そのキャラクターではまかないきれない叙情性を Sugbabe という別のキャラクターで発するという “演者的人格構造の構築” についても、つくづく信頼させられてしまう。

Anywhere ― kz (livetune) × 夢眠ネム
Lyrics & Music & Arrange: kz (livetune)

“キラキラしながら必ず一発殴る” みたいな livetune 成分が不足していたなか、夢眠ねむさんによるボーカロイド作品でようやく補給できた一曲。よく考えると kz さんが過去にリリースしていた『Magnetic』という曲と対応関係にあるように感じる。どこか遠くへ行きたい(でも自分じゃ行けない、誰か連れて行って)私 → どこへでも(君と一緒でも、そうじゃなくても)行けそうな私 → どこに居ても私は私、というような。

大江戸コントローラー featuring TORIENA ― Yunomi
Lyrics & Music: Yunomi / Vocals: TORIENA

ゲストボーカルを務める TORIENA さんが得意とするチップチューンのニュアンスと、和風な音使いが相まって、貧弱な表現やけどすごく TOKYO という感じが強い一曲。同じ EP に収録されている『バンブーディスコ』も、同じような響きを違う視点から描いているような一曲で、どちらも好んで聴いている。

めんたいコズミック (Stereoman Remix) ― Yunomi
Music & Lyrics: Yunomi / Vocals: nicamoq / Remixed by Stereoman (https://twitter.com/2_shape)

Yunomi さんの和風 EDM を、もう少しばかり儚く、狂乱ぎみにリミックスした一曲。2, 3 年前 tofubeats くんがリリースした『STAKEHOLDER』以降続く、個人的に好んでしまう “刹那の狂乱” 楽曲のひとつかなと思う。昨年で言えば椎名林檎さんの『長く短い祭』もこの一連。

Future Cαndy (Stereoman Remix) ― YUC'e
music&song: YUC'e / Remixed by Stereoman (https://twitter.com/2_shape)

この記事を書くときにつくづく思い知らされたのは、今年は「SoundCloud で Stereoman さんの楽曲を仕事中ずっとリピートしていた一年だった」ということ。この曲もめちゃくちゃ聴いた。ヘッドフォン付けて頭を振りながら(イメージの話)作業していた時間が多かった。本当に。

[Kemono Friends OP]よ う こ そ ジャパリパークへ (Stereoman Bootleg)
Original - 作詞・作曲・編曲:大石昌良

Stereoman さんの作品シリーズに、今年のネット的センターピースが交わった一曲。エモい。

ラブリーBaby feat. Moemi ― kissmenerdygirl

SoundCloud 的な話で言うと、ここ数年好んで聴いている、いわゆるフューチャーファンクというジャンルには、今年も引き続きかなり助けられた。この一曲は、以前取り上げた『BABYBABYの夢』と同じネタをサンプリングして、もっとあざとく仕上げた作品。

Can't Afford It All (Kygo Remix) ― Jakubi

好んで観ていた YouTube の投稿者が Kygo の音楽をよく使っていて、それきっかけで知った。彼のプレイリストにある 1 時間のミックス もめちゃくちゃよく聴いた。

TIME ― MONDO GROSSO
Music: Shinichi Osawa, MINMI / Words: bird / Produced by Shinichi Osawa / Co-produced by Mitsuharu Kitago, Yoshihiko Ishizaka / Vocal: bird

本来であればこの曲が今年のナンバーワン。現状の自分への近しさという意味では tofubeats くん・岡崎体育くん・PUNPEE くんのアルバムが好みだけど、純粋な音楽的意味で「めっちゃくちゃセンスいいな」と感服したのは、この曲が収録された『何度でも新しく生まれる』だった。テンポの扱い方、詩と声の説得力ある美しさ、それらをリードする大沢さんの力強いベースライン。間違いなく今年の自分にとってのテーマソング。

千% ― KICK THE CAN CREW
Words by MCU, LITTLE, KREVA / Music by MCU, LITTLE, KREVA, 柿崎洋一郎 / Programming by KREVA / Electric Bass by 岡雄三 / Keyboard by 柿崎洋一郎 / Vocals by YURI / Produced by KREVA, 柿崎洋一郎

最後に挙げるのはこの曲。もう「こればかりはどうしようもない」というやつ。時を経て高められたスキルを携えながら、王道のど真ん中を通って帰ってきた 3 人の力強さ。ありがとうございました、以外に言葉がない。

以上です。