私的 2014 年ベスト 14 曲
音楽があるから走り抜けられた 2014 年でした。特にお世話になった曲を、大みそかにご紹介。ありがとうございました。
1. Happy - Pharrell Williams
Written, produced and performed by Pharrell Williams
言うまでもなく、地球規模で「センターピース」となった今年の代表曲。去年の年末に聴いていたときは「ほら、こんなええ曲あるんやで」と話のネタにもできたけど、こんなに広まって、名実ともに普遍性を獲得するとはさすがに予想できなかった。でも『みんな大好きな一曲』っていうのがまだ存在し得るってポジティブに感じられるのは、とってもハッピーなことやと思う。日本でこの曲を聴いていると、この “Happy” っていう音楽が内発的には表現できなかったものだからこそ流行ったという気がするけれど、アメリカやほかの国ではどうなんやろう。すごく自然で素朴な曲であるが故に、日本にはあまり無い音楽であるように思えてしまうのは、少し卑屈かしら。
2. Pink or Black featuring 初音ミク - livetune
Lyric: kz / Music: kz / Arrangement: kz
では上述の ”Happy” と同じような感覚を、いまの日本で音楽として表現すると考えた場合、やっぱこれくらいギア上げやんとあかんよねという一曲。livetune さんの楽曲は何というか、封じ手なんか無い!という感じで、どんな種類の楽曲でも必ず曲の中で「上昇」して「キラキラ」する瞬間がもたらされる。それって、簡単に諦めたりしがちな僕みたいな人間からすると、どんな展開でも必ず一発相手をぶちのめすチャンスを探しているみたいな、彼のメンタリティの表れなのかなぁなんて思ってしまう。
――このアルバムがどれだけの拡がりを持って聴かれていくのか、本当に楽しみにしてます。で、これはほかのインタビューでもしゃべってると思うのでさらりと触れますけど、タイトルには“と金”の意味があると。
そうですね。攻め込んでいきたいなと。と金、好きなんですよ。いちばん弱いやつが、敵陣に切り込んでいったら強いやつになるという、ロマンがあるじゃないですか。少年ジャンプ的な感じというか。しかもメイクマネーという、ヒップホップ・マインドもあるし。
少年ジャンプ的な、ヒップホップ・マインドを持った、メイクマネー。うーん、見習いたい。
3. ray featuring Hatsune Miku - BUMP OF CHIKEN
作詞・作曲:藤原基央 / 編曲:BUMP OF CHICKEN / Vocal Programming: livetune
そんな livetune さんと、個人的には「ボーカロイド楽曲マインドの故郷」だと考えている BUMP OF CHICKEN のコラボレーションは、本当にしっくり来る一曲。およそ 10 年ぶりくらいに BUMP の楽曲を聴き直した僕の第一印象は「この人たちは一体何年同じことやってるんだ」というものやったけど、裏返すとそれくらい普遍性のあることを継続しているということ。ボーカロイド楽曲の源にある「許しを乞うこと」というテーマは、言わば「調教されなければ何もできない」ボーカロイドにおいては直喩的なんやけど、BUMP がそれを長年標榜し続けるその裏側にはどういうマインドがあるのだろう。
4. CLICK - ClariS
作詞・作曲・編曲:kz (livetune)
ここまで livetune さんを引っ張りまくってきたが、すでに触れた彼の「必ず上昇してキラキラする瞬間」がある楽曲性は、アニメのオープニングテーマとめちゃくちゃ相性が良い。これでもかと期待を煽るこの一曲も、アニメ「ニセコイ」のオープニングテーマにすごくハマっていた。この「上昇してキラキラ」というのはクラブミュージックであることを考えると割と一般的な特徴な訳やけど、それをポップにもアイドルソングにもアニソンにもグリグリ当てはめて自分の世界を作っているのは、他にはなかなか居ないと思う。
5. ギミー!レボリューション - 内田真礼
作詞:こだまさおり / 作曲:田淵智也 (UNISON SQUARE GARDEN) / 編曲:やしきん / Guitar & Programming: やしきん (F.M.F) / Guitar Solo: Tom-H@ck (F.M.F) / Bass: 工藤嶺 (F.M.F) / Piano: 岸田勇気 (F.M.F) / Drums: 山内 "masshoi" 優
質が高いアニソンはどんどん増えているし、映像を伴って音楽が楽しまれる機会が圧倒的に多くなっている中でそもそもアニメーションと結びついている音楽は、これからもっとその存在を強く大きくしていくと思う。その中でこの曲は、何というか「現代アニソンのテンプレート」みたいなものに近い感覚がある。もはや演歌っぽい気もするんやけど、来て欲しい表現が聴き手の望むタイミングでちゃんと訪れるように設計され尽くしている点がすごい。あくまでもポップでキッチュなギターロック、BPM は 180 でノリノリ、内田真礼の 120 点あげたくなるヴォイス。すごく 2014 な一曲やと思う。
6. ウィッチ☆アクティビティ - KMM団
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND / KMM団:倉石たんぽぽ(CV: 井澤詩織)飾鈴(CV: 麻倉もも)宇津木環那(CV: 夏川椎菜)目野輪冥(CV: 飯田友子)桂虎徹(CV: 日岡なつみ)/ フジムラトヲル (b, programming) 松井洋平 (programming, effective sampling) 石川智久 (synthesizer, p, programming) よしうらけんじ (ds, prc, programming, g) 川野勝広 (g, programming) 浅井眞理 (violin) 篠崎ストリングス (strings)
今年はなんだか仕事も忙しくなって、K.U.Z.U. だった去年ほどはアニメを観ていないけど、その中で「これは完成度高い!」となったのが『ウィッチクラフトワークス』という作品。その音楽を担当している TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND という方々が非常に好みで、今年の良い発見のひとつとなった。”EX MACHINA” への楽曲提供や、ランティス関連作品(らき☆すた、日常など)でリミックスを寄せられていて、元のイメージはアンビエントテクノをより聴きやすく落とし込まれている方々という感じだったのが、ウィッチクラフトワークスのサントラを聴いて、その音楽性の幅に驚いた。このアニメは日常系、魔法、ラブコメ、4 コマ漫画ノリなど色んな構成要素が詰め込まれまくっているけど、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND の音楽で「魔女戦争の話である」という点にきちんと引き締められている。しかもこんなにチャーミングなエンディングテーマも作れる。歌詞に出てくる「価値観なんて蜃気楼だよね」というワードに、激しく同意します。
7. TOKYO HARBOR featuring KREVA - 赤い公園
Written by 津野米咲, KREVA / Produced by 津野米咲 / Rap & Backing Vocal: KREVA
いよいよアニソンやボカロやらばかり聴きがちになってきたけど、今年新しく「女性メンバーが目立つロック」というのを聴くようにもなり、きっかけになったのは「赤い公園が KREVA と曲を作った!」というこの一曲だった。この曲は少し特別だとしても、自分が感じている「この時代らしさ」みたいなものをきっと彼女たちはより強く、より凝縮された状態で感じながら生きているんだろうなぁと思う曲が多い。感覚や発想は年代で括れるものだとまでは思わないけど、皆違う情報を摂取しながら異なる趣味趣向を持っているということを当たり前に受け止められる人たちのことは、こうした曲を聴いたりしないとなかなか想像しにくいなぁとは思う。でも、リビドーの本質みたいなものはあまり変わらないのかも、と一方で勝手に安心したりもする。
8. とおりゃんせ - パスピエ
Words by 大胡田なつき / Music by 成田ハネダ / Arranged by パスピエ
パスピエも今年になって初めて聴いたバンド。言葉とリズムの選び方にとても遊び心があり、でもきれいにラッピングされたあざとさやノリの良さの中には、その曲のテーマが情感を伴って浮かび上がる仕掛けが垣間見える。いい意味での粗雑さや泥臭さをあまり感じない代わりに、とにかく「巧いなぁ」という感覚が強い音楽を作る人たち。恐るべき若者たちというか、なんというか。
9. 全速力 featuring 三浦大知 - KREVA
Words & Music by KREVA, 三浦大知 / Produced by KREVA
そして我が KREVA 御大。再び三浦大知くんとペアを組んで、ベストアルバムの一曲目に持ってきたこの曲は「一体どこまで KREVA は KREVA で居るつもりなのだ」と逆に問いかけたくなるくらい、外すことなく躊躇うこと無く、ど真ん中を射貫いてくる一曲になっている。名盤『心臓』以来サンプリングミュージックを封印し、シンセサイザーを主に用いて「いまを生きる人たちが感じる閉塞感」をテーマに作品を作り続けている彼であるが故に、そろそろ “OH YEAH” で感じさせてくれたような、閉塞感を更に掘り進めた先にある「諦めのファンク」みたいなものを積極的に作品にしてほしいなぁと思う。いつまでも待ってます。
10. Uptown Funk featuring Bruno Mars - Mark Ronson
(Mark Ronson, Bruno Mars, Philip Lawrence, Jeff Bhasker, Devon Gallaspy & Nicholaus Williams)
今年の年末のテーマソングは、この一曲。なんというか、解説も言葉もまったく思い浮かばないくらい、聴くとやられる。自分の音楽史(と言うにはあまりにも幼稚だが)は、父親が車で掛けていたソウル・ミュージックがベースになっていて、ファンクやソウルは心の奥から揺さぶられる感覚がある。そういう感覚を真正面から揺らしてくる、カッコいい大人たち。しびれるなぁ。
11. ひとり - tofubeats
Written by tofubeats / Track Produced by tofubeats / Vocal: tofubeats
今年も去年に引き続き、tofubeats くんをいちばん良く聴いた。メジャーデビューに伴って触れられる情報も増えて、彼自身も様々な曲調の作品を、様々な方法で届けてくれていた一年。色々な作品がある中で、自分自身の課題意識というか、気分にすごく波長が合った一曲がこれ。カラッと晴れた冬の空気みたいな明るさを感じさせる、サンバやボサノヴァっぽいパーカッションのリズム。そこに「どうしてもっと踊れないのか」と歌い上げるボーカルが、切なくも力強い。上を見て生きなきゃ、と思えてくる。
12. ディスコの神様 featuring 藤井隆 - tofubeats
Written by tofubeats / Track Produced by tofubeats / Vocal: Takashi Fujii / Chorus: Tomoko Ikeda (Shiggy Jr.), Lovely Summer Chan & tofubeats / Additional Arrangement, Guitar: Koji Tsukada (P.A.S.)
そういう彼の「どうして踊れないのか」という憤りや「だからまだ踊らないと」という気概を、目いっぱいの茶目っ気と彼にしかできない音楽へのリスペクトを込めて作った一曲が、藤井隆をフィーチャーしたこの作品。底抜けの明るさがどこまでも悲しくて、でも最高に踊れる一曲に、藤井隆ほど似合う人は居ないと思う。惚れ惚れするくらい隆は説得力のあるディスコマスターだし、そんな彼をきちんとフィーチャーする tofubeats くんは嫉妬するくらいカッコいい。
13. M@STERPIECE - 765PRO ALLSTARS
作詩:yura / 作曲:神前暁 / 編曲:神前暁, 高田龍一 / 歌:天海春香(CV: 中村繪里子)星井美希(CV: 長谷川明子)如月千早(CV: 今井麻美)高槻やよい(CV: 仁後真耶子)萩原雪歩(CV: 浅倉杏美)菊地真(CV: 平田宏美)双海亜美/真美(CV: 下田麻美)水瀬伊織(CV: 釘宮理恵)三浦あずさ(CV: たかはし智秋)四条貴音(CV: 原由実)我那覇響(CV: 沼倉愛美)秋月律子(CV: 若林直美)
精神安定剤というか、処方薬のように聴きまくってしまった。http://ch.nicovideo.jp/nevergreen/blomaga/ar543309 というブログに、星野源がラジオ番組内でこの作品を褒めた様子が詳しく書かれているけれど、心から同意する内容。ズルいくらいに真摯な表現が詰まっているゆえに、何度も奮い立たせてもらった一曲。正論を言うときほど、その表現に真摯であるべきだというのは、この曲を通じて改めて自分にとっての重視点だと認識することができた。まぎれもなく、名作です。
14. Rather Be featuring Jess Glynne - Clean Bandit
(Jack Patterson, James Napier, Nicole Marshall, Grace Chatto)
With every step we take, Kyoto to The Bay
Strolling so casually
We're different and the same, gave you another name
Switch up the batteriesIf you gave me a chance I would take it
It's a shot in the dark but I'll make it
Know with all of your heart, you can't shame me
When I am with you, there's no place I'd rather be