tossy

アヒルが、ガーガー

【定期ポスト】最近の曲々 (April - June, 2017)

社会生活へ復帰し始めたのが、今年の 4 月から。ようやく(というよりも気がつけば)それから 3 ヶ月が経過して、そのあいだ色々な音楽を聴いては、自分をたしなめたり、自分をふるい立たせたりしてきた。備忘録として残しておく、ここ数ヶ月の聴取履歴たち。

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Theme Of Karin Kanzuki ― 小林啓樹
Composed by Keiki Kobayashi / Sound Director & Music Producer: Yukinori Kanda (CAPCOM) 

Theme of Karin Kanzuki

Theme of Karin Kanzuki

  • CAPCOM
  • サウンドトラック
  • ¥150

昨年のひきこもり期から格闘ゲームの動画を観るのが習慣となってしまった。そのなかで一番よくフォローしているのは『ストリートファイターV(以下、SFV)』界隈で、暇と興味が噛み合った結果、大会を観るために実際会場まで足を運んだこともあった。で、SFV の動画を観まくっているなかで音楽にも興味を持った結果、BGM 代わりに流すためにサントラ CD まで買ってしまい、今に至っている。好きな曲が色々あるなか、ダントツで一番好みなのが、小林啓樹さんが手掛けた『かりんのテーマ』であるこの一曲。オシャレな感じ、と言えばそこまでやけど、割とエレキギターに主旋律を担わせる曲調が多く見受けられるなか、この曲はフェンダー・ローズっぽい音で主旋律を奏でているあたりがすごく心地良い。そしてゲーム BGM の何が良いかって、機能的に “流れ続けること” が求められるが故に、ほぼ全曲ループミュージックなところ。

 

あえてそこ(攻め込む)― KREVA
Words & Music by KREVA / Programming by KREVA / Electric Bass by 岡雄三 / Produced by KREVA

KREVA 氏が久々にリリースした新アルバム『嘘と煩悩』を聴き込んだなかで、彼らしい楽曲だと特に感じたのがこの一曲。アルバム自体は、彼が現在感じている、日本語ラップ(あまり好きな表現じゃないけど、敢えて)や J-POP に対する自分なりの対峙方法を示せていると思えた。でも、じゃあこれが彼の完成形かと言われると、そうじゃないんやろうな、まだこの先の姿を彼は近々リリースするような気がするなという、そういう少し曖昧な示唆を強く感じた。まさかその “示唆” が思わぬかたちで具現化することになろうとは、このアルバムを聴き込んでいた寒い時期には思ってもみなかったけれど……。

 

LONELY NIGHTS ― tofubeats
Written by tofubeats / Rap: YOUNG JUJU (KANDYTOWN) / Vocal: tofubeats

tofubeats くんが生み出した『FANTASY CLUB』という一枚のアルバムは、2017 年というタームが、様々なことに毎回思い悩み、自らの立ち位置や表現に対して確かさを持つことへ “些かの懐疑感を持ってしまう” 者たちにとって何を意味しているかを、これでもかというくらい具現化した作品になった。ポストトゥルースがどうとか、オルタナティブトゥルースとはとか、みんな難しいことを言うけれど、本質的には「そんなことどうでもいい」のであって、この作品はその「オレは確かに “分かってない” が、自分が “分かってない” ことについては、お前よりずっと分かってる」という、2017 年的に正しい姿勢をきちんと示している。その切り取り方が、何よりも tofubeats くん自身の生真面目さを、真摯さを、強く感じさせる。

 

ようこそジャパリパークへ ― どうぶつビスケッツ×PPP
作詞・作曲・編曲:大石昌良

ようこそジャパリパークへ

ようこそジャパリパークへ

まあ、この曲は、うん、勇気をもらったよね。歌詞にある「けものは居ても のけものは居ない」にどれだけの人が救われただろうか。日本のインターネット 2017 年上半期を、これほど象徴している曲もなかろう。

 

まわせ PDCA サイクル ― 岡崎体育
Tracks & Lyrics written by 岡崎体育 / Arranged by 岡崎体育 / Produced by 岡崎体育

tofubeats くんのやり方とはまた違うけれど、しかし 2017 年に求められるエンターテインメントの在り方を、これまた切実に訴求したが故に出来上がったのが、岡崎体育くんの『XXL』というアルバムだと思っている。収録曲のうち、この “まわせ PDCA サイクル” のことを岡崎くんは「唯一の捨て曲。テレビで大相撲を観ながら 5 時間で作った」というようなふうに言っているけれど、でもこの曲ですら彼が決心して定めた “世間に対する自分の立ち位置” を示していて、戦い方として本当にカッコいいなとつくづく思わされる。彼が作っているのはジョークミュージックじゃない。ある意味で彼ほどリアリティーを否定できていない商業ミュージシャンも他に居ないと思う。

 

めんたいコズミック(Stereoman Remix) ― Yunomi
Vocal: 一二花 (Nica) / Artwork: きあと (Kiato)

作業してるなかで SoundCloud 掛けっぱなしというときもあって、そのなかで気に入った一曲。ちなみに Yunomi さんについては、とあることがきっかけで『大江戸コントローラー (YouTube)』で知ったこともあり、気に入って聴かせてもらっているミュージシャンのおひとりである。

 

千% ― KICK THE CAN CREW

青春が帰ってきた。KREVA 氏が『嘘と煩悩』で示唆していた “次の一手” は、まず思わぬかたちで訪れた。いやぁ……エモくていい。こんな手口を見せられると「もうエモいもの以外に興味持てないわ」ってなってまう。