tossy

アヒルが、ガーガー

【定期ポスト】最近の曲々 (December, 2015)

それでも前へ進むことが人間として必要なんだと思わせてもらえるのは、気高い人たちが確かに存在していることを知っているから。ということで、もがく私を彩ってくれた曲々をご紹介。

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Sunset Jesus - Avicii
T.Bergling, C.Falk, R.Yacoub, M.Posner, G.D.Graw, D.Lennevald, S.Cavazza, S.Kotecha / Produced by Tim Bergling / Additional Production by Dhani Lennevald / Vocals by Sandro Cavazza

Sunset Jesus

Sunset Jesus

  • Avicii
  • Electronic
  • ¥250

新作 “Stories” は、きちんと生活の中に取り込める曲も多くて、お作法としては EDM であるけれど日常的に聴けるというか、そういう Avicii 作品が広がりを見せている様子が十分にうかがえる一枚。とは言え、彼に期待する「上げてくれぇ、オレを、上げてくれぇ…」みたいな気持ちを裏切らない、この一枚におけるハイライトが、”City Lights”, “Pure Griding” を経てこの曲へと連なる三曲ではないかと思ってる。一曲目で高められ、二曲目で憤らせられ、そしてこの曲でガツンとカタルシスを与えられる。とは言っても、どの曲にも、なんというか、思い描ける風景が確かにあって、ちゃんと泥も土もついてる音楽という感覚が持てる。

 

A Sky Full Of Stars - Coldplay
G.Berryman, J.Buckland, W.Champion, C.Martin, T.Bergling / Produced by Coldplay, Paul Epworth, Daniel Green, Rik Simpson / Co-Produced by Tim Bergling

A Sky Full of Stars

A Sky Full of Stars

初めて聴いたときは「ええ歌や」としか思ってなかった Coldplay の名曲が実は Avicii プロデュースということを知り、神様ありがとう、という満たされた気分に。Coldplay が Avicii をフックアップしたのも、彼がフロアへの曲しか作れないような作家ではなく、シンガーソングライターとしての叙情性(それもけっこうなまでにユースで青い)を持ってることを十分に評価しているからだと思う。言うまでもないことですが。ちなみにこの曲が収録されてるアルバム “Ghost Stories” のクレジットには、Madeon の名前もリストされていて、確かに至福な一枚になってるのです。

 

Walls - Slaptop

Walls

Walls

  • Slaptop
  • Electronic
  • ¥250

サッカーゲームがしたいなと思い、FIFA シリーズなのか、ウイニングイレブンシリーズなのか、今買うならどっちなのかをムダに考える数週間という期間があった。そのとき FIFA シリーズにこの曲が採用されていたというたった一点で、何と PS4 まで買ってしまったという罪深い一曲。これまで聴いたドロップ(音サビ)がある曲のなかで最も品があるというか、悲しい気分になるドロップって初めて聴いたので、その印象が強烈で思い入れの強い作品になった。単にエフェクト掛けたドロップにやられてるだけって話もあるけど、音の取捨選択が他の曲と違うだけで、こんなに物思いにふけられるのかと思って、けっこう考えさせられてます。目的が明確だった音楽ジャンルが、いろんな派生をしている様子(生態の変遷?)を確かめられるのは、やっぱり音楽の醍醐味。

 

お願い!シンデレラ - CINDERELLA PROJECT
作詞:marhy / 作曲・編曲:BNSI(内田哲也)/ Starring: 島村卯月(CV: 大橋彩香)渋谷凛(CV: 福原綾香本田未央(CV: 原紗友里赤城みりあ(CV: 黒沢ともよ)アナスタシア(CV: 上坂すみれ緒方智絵里(CV: 大空直美)神崎蘭子(CV: 内田真礼城ヶ崎莉嘉(CV: 山本希望多田李衣菜(CV: 青木瑠璃子新田美波(CV: 洲崎綾双葉杏(CV: 五十嵐裕美前川みく(CV: 高森奈津美三村かな子(CV: 大坪由佳諸星きらり(CV: 松嵜麗

お願い! シンデレラ (CINDERELLA PROJECTver)

お願い! シンデレラ (CINDERELLA PROJECTver)

  • CINDERELLA PROJECT
  • Anime
  • ¥250

でもいっぽうで、一直線にひとつの目的を満たすためにひた走る音楽というのも、やっぱり必要だし素敵で。フロアライクという意味では、前述の EDM 的な音楽たちよりも、この曲のほうがずっと一途。歌詞としては「もう一回」と「進もう!」だけで、もう十分。この曲と “The Days / Avicii” は、今の僕にとって完全に演歌扱いです。

 

愛のまぼろし featuring tofubeats (Music Video) - G.RINA
Words, Music & Produced by G.RINA with tofubeats / Director: Shunsuke Sugiyama

鬼名曲の “No.1” のアンサーソングとして作られたとのことですが、人は許しをどのように乞うのか、という点について描かれた曲であり、そのミュージックビデオなのかなと思って何度も観返しています。監督であるスケブリさんが「いろいろ出しきって搾りカスみたいになってます。」とツイートされていたけど、とにかく細かく行き届いた(ちょっと行き届きすぎてる?)くらい描写がなされた作品なので、是非映像付きで聴いてみてほしい。

 

I Believe In You - tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Additional Voice by tofubeats / Produced by tofubeats

I Believe In You

I Believe In You

アルバム “POSITIVE” に関してトーフくんの色々なインタビュー記事を読んだけど、一番思い入れのある曲として語られていたのがこれ。前作のアルバムもそうだけど、最後にこういう突き抜けて自らの本領をさらけ出せるというのは、彼が色々な形での楽曲制作をしているからこそ、なのかなぁと思う。自分の作品まで客観的で迎合的に締めくくられていたら、やっぱりそれはちょっと悲しいし、そういう意味でこの曲があるということが、聴き手としてもすごく救われる気持ちになれる。ありがとう、トーフくん。これからもめっちゃ応援してます。

コンセプトとスケール

「胸が大きめの女性は、可愛いと思って手に取ったブラジャーでも、寸法自体が大きくなってしまうことで、自分のサイズじゃ何だか可愛く思えなくなりがち」という話を聞いたことがあり、すごく面白い話だと思った。

「寸法で可愛さが変わる」ということって、思いの外、世の中のいろんな箇所に溢れている。たとえば自分の経験で言えば、ユニセックスで楽しめるスニーカーとかで、小さめのサイズ(主に女性が履いている想定)で見たらすごく欲しいんだけれど、自分のサイズ(例えば 27.5cm とか)で実物を見たら途端に意欲が下がるというようなタイプのスニーカーがある。adidas で言うなら「ultra boost」はサイズが大きくても良さそうだが、それが「ZX FLUX」になると途端に許せなくなる、とか。

そういう「良いと思っても、サイズ感を鑑みた後に、関与しにくくなっちゃう」みたいなことは、おそらく自分がそういう感覚を大切にしたいと思っているが故に、よく感じてしまう。サイズ感、と言えば良いか、スケール、と言えば良いか。重く(大きく)なってしまうことで、元来のミニマムさが低減されてしまう場合、特にそういった感情を持ってしまうように思う。

【以下、飛躍】

書き下ろされたコンセプトが、その時点でのスケール(寸法)では魅力的に思えても、拡大縮小されたことにより、なんだか魅力が感じにくくなるということ。これについて考えると、その事象自体についてはうまく結論が思い浮かばないのだけれど、逆に言えば、そういう変更が生じてもなお魅力が上下しないコンセプトワークって、めっちゃすごいってこと。個人的にはそういう「スケールに左右されにくい」コンセプトに引っ張られて制作されたものの価値が、もうちょっと世の中で理解されてほしいなぁと思う。

作った人は「何を引き算したか」分かっていても、それを見る人には「何を引き算したか」はまず分からない。そんなこと考えなくても「いいものはいい」のかも知れないけど、でも「あらかじめ棄却された可能性たち」について、制作者の一万分の一でも思考を巡らせられれば、少しは呼吸のしやすい社会になるんじゃないかなぁ…と偏想しがちな昨今です。

素直に「洗練されすぎていると思考の余地を感じにくい」という、いつもの話なのかしら。でも最近デザインに対して、意味を求め過ぎなんじゃないかなぁという気がするし、別にそれは良い悪いではなく、今の傾向なのかなぁと思い、その程度の文脈感を持って状況を見守りたいなぁなんて思います。

2015-05-04 14:57:11

【定期ポスト】最近の曲々 (August, 2015)

トランキライザー、ペインキラー…音楽は痛みを和らげる科学的な効能があるとか、なんとかという記事を読みましたが、果たして。

 

A&E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn / Clean Bandit
(J.Patterson, G.Chatto) / Produced by Jack Patterson / Jack Patterson (key, steel ds) Neil Amin-Smith (violin) Grace Chatto (cello, backing vo) Luke Patterson (ds) Nikki Cislyn (vo) Kandaka Moore (vo) Beatrice Philips (violin) Asher Zaccardelli (viola)

A+E (feat. Kandaka Moore & Nikki Cislyn)

A+E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn

  • Clean Bandit
  • Dance
  • ¥250

持ち合わせた音楽的バランス感覚の良さというか、正直センス良すぎてちょっとムカつくぜぐらい言わせてくださいというのが、一曲しか知らなかった状態からアルバムを聴いてみた感想。先日うちに遊びに来てくれた、知能指数高い系女子(誠心誠意褒めてる)が彼らの音楽が好きだと言っていて、うーん、納得。この楽曲は例の ”Rather Be” の次の曲順で、この曲を皮切りに「じゃあツボを突いていきますねー」という流れに持ち込んでいかれる。幅広い音楽性が、繰り返しになりますが、憎い方々です。

 

I Can't Wait (Powermix) / Nu Shooz
(J.Smith)

I Can't Wait (Powermix)

I Can't Wait (Powermix)

  • Nu Shooz
  • Pop
  • ¥150

前回ブログを書いてから、音楽視聴的に変化があったと言えば Apple Music というわけだが、これが今ひとつ使いこなせていない。用途として今のところ(なぜか)機能しているのは「これの元ネタなんやったっけ…検索してみるか」というとき。別に YouTube でええんやけど、一曲聴いてみようかと思うときにその再生元が iTunes 上にあるというのが、意識的に実は大切なのかも知れない。この曲は KREVA が自身のアルバムを PR するために「勝手に Remix」していたときのサンプリングネタ。原曲で大胆にボーカルをネタにして使っているのが心地良く、それをそのまま活かしてラップしてた KREVA もカッコ良かった。

 

She is my new town (tofubeats west-kobe remix) / 藤井隆
作詞:Seiko Matsuda / 作曲:Seiko Matsuda, Ryo Ogura / Remixed by tofubeats / 藤井隆 (vo) Seiko Matsuda (chorus) tofubeats (programming)

なんと iTunes にない!が、藤井隆がまたもや生み出したクラシック “COFFEE BAR COWBOY” から紹介したかったのは、やっぱりトーフくんの一曲。もちろん(というか、やっぱり)松田聖子プロデュースの原曲自体が、焦点の定めにくい浮遊感と多義性をはらんだ印象を持った不思議な魅力を強く持っていてステキ。そのうえで “new town” であるところの tofubeats くんが、これまた「真正面から楽曲を引き受けて」リミックスをしていて、なんとも背筋が正されるようなポップスになっている。正座して聴くべきレベル。

 

おしえて / Avec Avec
Produced by Takuma Hosokawa

2012 年に公開されていた楽曲だったのを今頃知り、美しすぎて辛い一曲としてなんども聴き返している、非常に「エモい」作品。なにもかも、この渦のなかに、放り込めれば良いのに、というか、なんというか。この楽曲が含まれたフリーダウンロードできるアルバムには、坂本真綾が歌った「悲しくてやりきれない」のリミックスが入っており、それも必聴です。

 

ミュージック / DAOKO
Lyrics: DAOKO / Music: PARKGOLF, DAOKO / Arrange: PARKGOLF / Sound Produced by 片寄明人 (GREAT3, Chocolat & Akito)

ミュージック

ミュージック

  • DAOKO
  • Hip Hop/Rap
  • ¥250

川村元気トータルプロデュース!という凄まじい布陣でメジャーデビューを飾った DAOKO が自身の名をアルバムの名としたファーストは、tofubeats "水星" を彼女が「太陽が照らす小田急線内」というフレーズで歌いこなすところから始まる。が、聴けば聴くほど、どこにも DAOKO は見当たらない。その非実在性こそが彼女の大きな特徴だと、やっぱり思う。どれだけ日常的な歌詞やテーマを歌おうとも、いや、むしろ歌えば歌うほど、彼女はどこにも存在していないように感じられる。ラップの根本的なスタート地点が「オレはここでお前にこのことを伝えてるんやから、耳貸せ馬鹿野郎ども」なら、随分遠いところまで来た。しかしそれはまったくハッピーなことで。

 

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI / れるりり
作詞・作曲:れるりり

脳漿炸裂ガール feat.初音ミク、GUMI

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI

  • れるりり
  • Anime
  • ¥250

仕事のイベントで数日間展示ブースに立ち尽くしていたときに、自社ブースでこの楽曲が鳴り続けていて、さすがに耳から離れなくなってしまった。それにしても、niconico 的な価値観もそうやし、僕が尊敬して止まないやくしまるえつこ先生もそうやけど、どうして「いま、このとき」を客観的に描いているなと思えるときに相応しい枕詞が「どうでもいいけど」なんやろう。システムの複雑性が高まるいっぽうである時流において、自らの領域を「いったん確保」するために持ち出す便利な言葉として「どうでもいいけど」は重宝するんやけど…少なくとも「どうでもいいけど」は、ゆとり・さとりからもたらされるバズワードではないとだけは思う。どうでもいいけど、の向こう側に、何を読み解くかが、まずスタート地点なのかもしれへん(か?)。

 

SOMINSAI featuring PUNPEE / RHYMESTER
Produced by PUNPEE (PSG) / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸, PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

「どうでもいいけど」と思いながらも、容易くそんなこと口にできないのが、社会人。とは言え、だからと言って誰かに責任転嫁するわけでもない。自分はあくまでも両義性の一方を担っているだけに過ぎず、他方が持っている論理というのは自らのそれと同様に尊重されるべき時代。とは分かりつつも、しかし、それを「頭で理解できても、身体は発作起こしてる」ときに、僕たちはその状況へどう立ち向かえば良いか。という点について、奇祭である「蘇民祭」をモチーフに許しを与えてくれる作品が、これ。今回のアルバムについてライムスが提示した「美しくあろうと願い続けること、それが唯一のプロテストである」については、昨年春に書いていた内容そのままで、本当に救われました。

 

POSITIVE (tofubeats demo vocal version) / tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Guitar by ug noodle / Chorus by tofubeats, okadada

今年の下半期のテーマは間違いなく “POSITIVE” なのです。進歩史観よりも、ダンシン・スルー・ザ・ナイト。だいじょうぶ。

【定期ポスト】最近の曲々 (May, 2015)

数カ月ぶりに定期ポストを。毎日を突き動かしてくれる EDM が今の気分ではありますが、それ以外にも琴線に触れた作品をご紹介。好きだと思えたものをきちんと言葉に起こす訓練は、なるべく休まず行わなければいけないなぁ。

 

STAKEHOLDER / tofubeats
Produced by tofubeats

STAKEHOLDER

STAKEHOLDER

メジャーデビュー後、森高千里藤井隆といった手練たちとコラボレーションを重ねてきた彼が、背負っていた荷物を少し下ろして、慣れとウィットに富んだ音楽を提供してくれるミニアルバムの表題曲がこれ。2015 年の打ち込み音楽として、緩急ハッキリした展開は常套手段ではあるけれど、この曲に関しては「緩い」メロディの上品で物憂げな流れと「激しい」フックの狂おしい可愛げが絶妙に調和していて、なんど聴いても気持ち良い。そして言うまでもなく、MV (YouTube) はたまらない出来。是非一枚通して聴いてもらいたい。

  

Lay Me Down / Avicii
T.Bergling, A.Pournouri, N.Rodgers, A.Lambert / Produced by Tim Bergling / Co-Produced by Nile Rodgers / Vocals by Adam Lambert / Backing Vocals by King, Russell Graham

Lay Me Down

Lay Me Down

  • Avicii
  • Dance
  • ¥250

最早リリースから随分時間が経っており、新曲もすでにたくさん出ているなかでようやく聴いた Avicii のアルバム。どのトラックも「やりすぎてない EDM」として非常に好感が持てる。エモいけどエモすぎず、ソリッドやけど尖り過ぎてないっていう絶妙なバランスが人気の理由なのかなと思っているなか、いちばん聴きこんでいるのがこの曲。ベースラインとカッティングの心地良さを何重にも聴かせて、これでもかと期待を煽ったあとに、ガツンと音サビを持ってくる「周到さ」がたまらない。ホント、さすがナイル・ロジャースとしか言いようがないし、位置づけ的にも “Random Access Memories / Daft Punk” の正統後継曲という感じかなと思う。

 

Get Wild 2015 - Huge Data / TM NETWORK
Words: Mitsuko Komuro / Music: Tetsuya Komuro / Guitar: Kazuhiro Matsuo / Produced by Tetsuya Komuro

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

そんな Avicii を TK が賞賛したり、アルバム “DRESS” ではナイル・ロジャースとの共作も見せたりと、さすがな歴史と現在を見せつけてくださる TM NETWORK の最新作。ライブごとにアップデートされていくゲワイ最新版はこれですよー、という「永遠のベータ感」を感じる曲って、早々ないわけで、まずその点が面白い。曲そのものとしても、変化の速い EDM シーンのトレンドを取り込むだけでなく、不穏さを醸し出す声ネタ使いや、アコースティックギターのカッティングによる期待感の醸成、導入部の力強いアルペジオパターンなど、原曲の持つ多面的な表情を手を変え品を変え表現している。11:13 という演奏時間が短く感じるくらい、密度の高い一曲だと思う。

 

O.R.I.O.N. / 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
Words: STY / Music: STY, Maozon / All Instruments and Programming: Maozon / Additional Instruments and Programming: STY / Produced by STY

O.R.I.O.N.

O.R.I.O.N.

サンレコ 2015.03 号で D.O.I. 氏が “R.Y.U.S.E.I.” を紹介していたことをきっかけに、縁遠かった三代目さんたちのアルバムを手にしてみて、気に入った一曲。もちろん “R.Y.U.S.E.I.” も出色の出来やと思う(なんてったってレコード大賞)けど、個人的にはこちらが好み。おそらく細切れのサビよりも大サビへ向けた展開がある EDM のほうが好きだというだけの話ですが、それぞれ良い作品だと思う。三代目にせよセカオワにせよ、音サビがどんどん流行ってくれたらうれしいなと思う次第です。

 

K-Pop Culture / TAK
Mashuped by TAK

そういった EDM の流れを日本よりもずっと前から上手に取り入れているのは K-POP で、そのいいとこ取りを上質なマッシュアップで聴かせてくれる TAK の作品。一躍その名を世界に轟かせた “Pop Culture / Madeon” の K-POP バージョンという位置づけなので、どちらも併せてぜひお聞きください。

 

透明人間 / Perfume
作詞・作曲:中田ヤスタカ (CAPSULE) / Written, Arranged & Produced by Yasutaka Nakata (CAPSULE)

透明人間

透明人間

待ちに待った彼女たちの新作 3 曲は、すべて違った魅力を持った作品だけれど、なかでも敢えてタイトルになっていないこの曲をご紹介。タイトルを見た時点で、歴史的名作である “Englishman in New York / Sting” 的な連想が生まれてしまうなか、その期待を裏切らない美麗なメロディと 3 人の歌声に力強い四つ打ちが相まって、聴き手の深いトコロがグッと持っていかれる感じ。アウトロに用いられている流れも、感傷に浸れる余韻をやり過ぎない範囲で演出してくれているのが嬉しい、物悲しくも元気づけられる一曲。

 

We Are So in Love / 花澤香菜
作詞・作曲・編曲:矢野博康

We Are So in Love

We Are So in Love

“into the night / Rhymester”, “Brand New Days / 花澤香菜” と最高な「キラキラ」を届けてくださる矢野博康作品の最新作。挙げた過去二作よりは少しアーバンポップさを増しつつも、絶賛恋愛中という主人公の浮かれっぷりを、その「当人にしか分かり得ない」言葉遣いとともに表現している点が心地良い。少しメタっぽいことを言うならば、誇張が過ぎる歌詞や上ずった表現を花澤さんの声で届けるという「嫌らしいまでのグッドチョイス」が、益々キラキラしていてたまらない。この辺のプロデュース感覚は、やはり北川勝利さんの妙技なのだろうか。

 

Still Changing / Rhymester
Produced by BACHLOGIC / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸

Still Changing

Still Changing

すでに YouTube の紹介はしたけれど、楽曲としてリリースされて、聴きこんで、やっぱり良曲であると取り上げざるをえない作品。同録の「人間交差点」は、語弊を恐れずに言うならば “ONCE AGAIN” 以降ライムスファンになったリスナーに真っ直ぐ刺さる曲を目指したのかな、という感じ(とは言え、DJ JIN の野太いトラックと宇多丸師匠のエグいライミングは必聴の名曲)。いずれにせよ、この一曲くらいのセルフコンフィデンスの持ちようが、僕にとってはちょうどいいのです。

 

これでよければいくらでも (Instrumental) / KREVA
Words & Music by KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

これでよければいくらでも(Inst.)

これでよければいくらでも(Instrumental)

  • KREVA
  • Hip Hop / Rap
  • ¥250

現在行われている、47都道府県 TOUR 2015「UNDER THE MOON」の発表時に公開された動画で、バックトラックとして初公開された一曲。もちろん後のせラップも聴き応えあって良いのだけれど、敢えて Instrumental で聴きたくなる。聴けば聴くほど、ヒップホップマナーに則った上での新鮮さと心地良さを同居させたトラックメイキングに関して、KREVA 御大というのはつくづくスキルフルなミュージシャンなのだと感じさせられる。

 

Under The Moon / KREVA
Words & Music by KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

Under The Moon

Under The Moon

  • KREVA
  • Hip Hop / Rap
  • ¥250

変則さを取り入れながらも、バランスを崩すことなく聴かせるトラック。経年劣化することのない平易な言葉で構成されたテクニカルなラップ。スキルがどうこう、というよりも、目的に対して至極真っ当なプロセスを辿ることで作品を成立させている「総合的な構成力」が何よりもすごい一曲。こういう感覚を保ち続けている KREVA 御大が、やっぱり僕は大好きです。

セオリー

物事の優先順位をどうして見誤ってしまうのか、といつも自分を疎み、責めている。そこでふと自分から目を離し、知人や友人のことを思うと、明らかに「自分の優先順位」とは違う(あるいは、自分では到底できない順位付けを感じる)セオリーで動いているのを見たときに、僕はその人について「おもろいなぁ」「その偏り加減がこの人の魅力やなぁ」と感じることを思い出す。己のセオリーを己は疎んでも、ほかの誰かにとってアピールになっているのかもしれない。ダメであることは、必ずしも「悪い・良くない」とは同義ではない、と今は思うことにしよう。

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「俯瞰する視点を獲得しなさい」と言われ「あぁ、これは他人をサンプリングせよということなんやな」という意味で一応納得した。でも裏返せば(至極当たり前やけど)自分も誰かにとっての「サンプル」であるわけだ。僕を知る誰かに「ああいうやつが居てね、クズなんやけど、まぁ面白くなくはないよ」という程度の存在でいられれば御の字やし、そんなの「どうにでも思って頂戴」なのだから、自分で「サンプルとしての価値」を考えすぎるなんていうことは、やっぱりナンセンスなのだ。

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『君が思っているほど、世の中は君に興味がない』と言う姉の言葉は、墓場まで携えなきゃいけない至言。自分がナイーブで、カッコつけで、他人の目を気にしていることは、今に始まったことじゃないとすぐ思い出せる。

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やれることからやろう。喜んでもらえる親孝行や、お世話になっている友人に元気な姿を見せることや、好きな女の子を見つけて思いを伝えることは、今の僕にはまだ少し遠いこと。でも仕事して、自分の成すべきことにまず挑むことは、やれることのうちのひとつなんじゃないか。どうだろう、自分。

【定期ポスト】最近の曲々 (February, 2015)

悲観に逃げるという卑怯なことをどこまで続ければ気が済むのだろうと情けなさでいっぱいになるから、替わりに音楽へ逃げる時間を増やそうとしている二月。冬は苦手だ。彩る音楽に感謝を。

 

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time will tell - tofubeats with BONNIE PINK
Utada Hikaru / Produced by tofubeats / Vocal by BONNIE PINK

time will tell

time will tell

原曲にそこまで思い入れがあった訳ではなかったけど、tofubeats くんの「引き受けている」感じがすごくて、楽曲にあった説得力が倍増しているように感じる一曲。この企画アルバム自体が「音楽家」による「解釈について」という名前が付いているうえで、引き算で成立しているこのリミックスはすごく強さを持っていると思う。他の収録曲も(岡村靖幸も、浜崎あゆみも)そういう意味で聴き応え抜群。宇多田さんすごい。

 

こきゅうとす - 花澤香菜
作詞:ティカ・α / 作曲:ティカ・α / 編曲:やくしまるえつこ, 山口元輝 / Produced by やくしまるえつこ / やくしまるえつこ (dimtakt, programming, prc) 永井聖一 (g) 栗原正己 (b) 山口元輝 (ds, programming) 

こきゅうとす

こきゅうとす

花澤香菜の曲」という感じで聴く歌ではないと思うけど、やくしまるさんがこの曲を作ろうとしたときに見えた像がこの曲を作らしめたとするなら、なるほどと思えてくるような。もう終わるのか、これからなのか。陽気なのか、陰気なのか。まだ願っているのか、すでに諦めているのか。冬コミのブースでガンガン掛ける曲ではないとやっぱり思うし、コマーシャルな曲でもあんまり無いけど、やくしまるさんの楽曲のひとつとして、でも勇気づけられる。

 

NOW ON AIR - 赤い公園
Written by 津野米咲 / Produced by 蔦谷好位置

NOW ON AIR

NOW ON AIR

昨年出た彼女たちのアルバム「猛烈リトミック」のオープニングテーマで、MV 含めて女子推しな一曲やけど、リビドーがちゃんとコントロールされていて聴きやすくて気に入っている。実はすごい根暗な歌やけど、どこまでもポップ(誰も傷つかない、みんな楽しい)にラッピングされていて良い。バンド組んで演奏したら、女子高生にはきっと気持ち良いのだろう。

 

ハロー、グッバイ - charlot
Written, Produced and Mixed by Naoki Kono / Vocal by Cosame Nishiyama

東京で暮らす二人の女の子が紡ぐ物語から、マンガや音楽やデザインを作り出していく「ハロー、グッバイ」というプロジェクト。その第一弾として作られた楽曲。本当「テーマ」っていう言葉に相応しい、想像力や物語の背景へ思いを巡らせる一曲であると同時に、貧弱なくせに混乱している自分の物語をふと回想してしまう一曲。なんというか、トレンディだなぁという感想を、久々に持ったかもしれない。

 

Still Changing - Rhymester
Lyrics by Mummy-D, 宇多丸 / Produced by BACHLOGIC / Music Video Directed by tatsuaki

BL の「仄暗い場所から希望をうかがう」トラックに、変わり続けているということを今も変わらず(でもめっちゃカッコ良く、どこまでも男前に)明らかな確信を携えて歌い上げる、やっぱりすごい一曲。25 年経って更に自分たちのボリュームとターゲットを広げ続けるって奇跡みたいなことで、その事実を嫌らしくなく掲げる作品に仕立て上げるところも、恐れ入りますという気持ちでいっぱいになる。あと何が良いって、Rhymester の作品を聴くのが初めてという人に向けても、きちんと魅力が伝わるアジャストメントが徹底的になされていること。クリーンな楽曲やし、ラップの面白さも分かりやすい。サービス精神とポジティブネス、見習いたいです。

 

Get Wild 2014 - TM NETWORK
Words: Mitsuko Komuro / Music: Tetsuya Komuro / Guitar: Kazuhiro Matsuo / Produced by Tetsuya Komuro

Get Wild 2014

Get Wild 2014

これまで特に聴いたことなかったのに、昨年のライブ映像になぜかハマってしまい、ゴリゴリの小室 EDM をリピートしまくっている。ニコニコもアニメと合わせた MAD がたくさんあるし、原曲も含めてやっぱりカッコいい。ペラッペラの(褒めている)歌詞とか、みんな口ずさめるフレーズとか、かつての曲だったから気持ち良く浸れる楽曲性を僕は今も聴きたいと思うし、それをちゃんと調整して出してくれる大人たちが居るというのは、とてもうれしいこと。

せめて音楽だけは止めないで

「音楽を止めないで」

これしかない。踊るというのは、比喩じゃなく、そのものなんだ。

どうして踊れないの?
踊らなきゃ。

ら音楽だけは、止めないで。

お願いだから。 

NOW ON AIR

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