【定期ポスト】最近の曲々 (October, 2014)
昨日の自分も思い出せないし、明日の自分も想起できない。毎日毎日、その日の自分と向き合い、ダメになったり、それなりにうまく進められたり、そんなひどく酷い繰り返し。報いなんて求められないけど、せめて後押しは欲しい。そんな自分にとっての、最近の曲々。
恋する感覚 featuring 花澤香菜 - Base Ball Bear
作詞・作曲:小出祐介 / Arranged & Produced by Base Ball Bear
ヴォーカリストに花澤さんを迎え、初々しさと切なさを、季節の情景に乗せて描く一曲。声色の多様さに驚いたという小出さんたちのコメントがあったけれど、少なくともそこから発せられる声々がまるでそのままの彼女の声なのだと説得力を持って感じさせられてしまう技量を、花澤さんから感じ取ってしまう。発している言葉の他にはまるで何も考えていないような、そういう無垢な女の子の声。それが演技であることも、聴いているうちは忘れちゃってるくらい。
ray featuring Hatsune Miku - BUMP OF CHICKEN
作詞・作曲:藤原基央 / 編曲:BUMP OF CHICKEN / Vocal Programming: livetune
その声を発している主体(つまりは歌い手となる声)がまなざしを向けている相手(平たく言えば聴き手)に対して等しく「許しを与えている」という、聴き手からすれば甘えにも似た感覚。ボーカロイドの楽曲と一括りに言っても色々あるのは知っているけど、それでもその基礎となった価値観は、ボーカロイド側からの「自分を歌わせてくれているあなたへの恋歌」だったように思う。で、その更に源泉となるような「聴き手に等しく許しを与える」という優しさの価値を、メジャーシーンで明確化させていたのが、今思えば藤原基央だったのではないかと。藤原基央と初音ミクの「妙にしっくり来る感じ」は、単に予定調和だったのだろうなと感じながら、しかしそのマッチングが極めて「必然」であるから、何度も聴いてしまう一曲。
ray featuring Hatsune Miku (livetune cover) - livetune
Presented by BUMP OF CHICKEN / Lyric, Music: 藤原基央 / Arrangement: livetune
で、livetune 氏のセルフカバー的な作品がこれなのだけれど、重ねて聴いていくと、むしろ BUMP 的なあざとさ(褒め言葉)が削ぎ落とされて、抑えるべきところは抑え、強調すべきところは強調されて更に聴きこんでしまうループが出来上がる。ひとつめのサビを導入部に持ってきている部分と、それを終えて再び始まるイントロのドラムパターンがかなり好き。
TOKYO HARBOR featuring KREVA - 赤い公園
Written by 津野米咲, KREVA / Produced by 津野米咲 / Rap & Backing Vocal: KREVA
同じアルバムに入っている "楽しい" みたいな愉快で若々しい楽曲から、"ナンバーシックス" みたいな明るくて死にたくなる曲、それこそ SMAP の "Joy" みたいな大衆曲まで、赤い公園には色々な魅力があるけれど、大人っぽいというか、艶で粋でズルいみたいな曲は新鮮な印象。初の客演として名を連ねている KREVA は、とにかく「手頃な悪さ」と「結果何も言っていない」ラップで曲に花を添えているけれど、でもやっぱり聴きどころはラップより KREVA のコーラスやと思う。
――あとは、今回 KREVA さんのコーラスが入ってるのも大きなポイントですね。
津野 「そう!」
――なかなか聴いたことのない KREVA さんのキーと声色で。
KREVA 「ラップの入ったデモを渡すときに “とにかく俺の声を小さくしてくれ” ってリクエストしたんだよね(笑)。ちょっと恥ずかしかったから」
津野 「でも、逆に私たちはミックスのとき “KREVA さん上げてくださーい”って頼んで(笑)」
KREVA 「あははははは」
インタビュー:特別対談: KREVA×津野米咲(赤い公園) - CDJournal CDJ PUSH
20140803 - tofubeats
Written by tofubeats / Track Produced by tofubeats / Vocal, Guitar: tofubeats
散々構築してきた流れのラストに、あんまり捻りが加えられてないストレートなトラックを持ってきて、歌うだけ歌って「はい、終わり!」みたいなアルバムが個人的に結構好きなのだけれど、この曲はまさにそういう感じ。音楽最高。
Mayonnaise
何に合わせても美味しいマヨネーズみたいに、素敵なものがたくさんある。
でも、それは「鮮度」が命。鮮度で勝負することを捨てた人には、眩しくても、決して真似できない。
鮮度で勝負しない、合成添加物上等な私には「美味しいうちに食べてね」なんて言えない。ましてや「鮮度のピーク」が無い私には、冷凍保存するタイミングも設けられない。あなたが食べたいと思ったときに、ちゃんと(廃棄処分にならないうちは)商品棚に陳列されているように努めます、としか言えない。
マヨネーズ、美味しいよねぇ…
前しか向かねぇ
後ろばかり振り返って前へ進もうとしない自分を強いるために、今年は表題をテーマに生きようと冗談ながらに語ったのが今年の春のこと。しかしながら前しか向かなかったからこそ、というか前を向くために何かにつけて自分に甘く生きていたから、何だかここにきてお金が足りなくなってしまった。
頑張れば、切り詰めれば、多分乗り越えられる。けれど何だか今月来月とお金のことばっかり考えなければいけなくなってしまったことに、すごく嫌気が差している。つくづく僕は、お金について考えるのが苦手なのだ。
お金について考えるというのは、今の自分や将来の自分の「在り方」とか「身の丈」について考えるということ。突き詰めると、そういうことを考えたくない性格ということになる。特に「身の丈」については、考える前に意識しすぎてしまうからこそ、考えたくないフォルダにずっと入っている。
とりあえずは次の稼ぎを確保するために働くしかない。中期的には稼ぎを高めるために働くしかない。長期的には生きていくために働くしかない。
すでにお分かりだと思うが、ここまで書いたのはすべて言い訳に過ぎない。節約をせよ。勤労に励め。誰かのために奔走せよ。成果なんて、成果なんて!
まだだよ、なにもかも。がんばれ。
乱気流
気分の上がり下がりというのは、これはもうどうしようもなく起こるもので。それを「良いときも悪いときも一定に」という教えで育った私は無理に抑えつけようとするから、色々と下らなさや醜さを生み出してしまう。いや、しかもこの教えは確か金銭感覚についてのものだったはずで、それを無駄に拡げてしまった僕が悪い。
大人にならなきゃとすっごくすごく思うのだけれど、対処法というのはいつまで経っても定まらない。緊急パッチみたいなものを毎度あてがおうとしても、金銭的に精神的に無理が多くて、もう何だか「もう!」という感じで。
ならばそのアップダウンをテンポ良くこなしていくしかない。上向いているときには「浮かれた阿呆」になり、下向いているときには「沈んだ阿呆」にならざるを得ないからこそ、ピーキーな自分に慣れ、毎度テンポ良く成り代わっていくしかない。
…扱いにくい 27 歳男子だ。誰かのためにそうであるなら「ピエロ」と言えるけれど、これではただのご乱心ボーイなだけではないか。
夢に見る鏡張りの
四方八方跳ね返す
狭いけど広い君はシックス
少しの毒と虚しさを
背負ったまま踊る
やめだ!
バイトに戻って腐る るる
レジ、レジ、じー!
【定期ポスト】最近の曲々 (September, 2014)
飛び立つ前には、駆け出す前には、まず強く地面を蹴り上げる準備が必要な訳で。そんなことを思いながら平日を過ごし、休日を無駄に捨てる昨今の私を彩る曲々。
ハッピーバースデー - 環ROY
(R.Tamaki, K.Miura)
ここ数ヶ月ずっとこの曲を聴く度に、ハッとさせられ続けていた。日常的な視点から少しずつ目線を上げていった先に、自分が無意識のうちに見ないようにしていた、もっと言えば無視していた事柄と再会する、あの感じ。そのときに花火みたいに去来する、あの自己嫌悪と誰かを求める人恋しさ。そんな諸々を、ラップとトラックでうまく表現している一曲。弱い自分が、だらしない自分が生きていく上で「突き付ける系の楽曲」というのは常にストックとして保っておかなければならず、今の僕にとってこの曲はそのうちの一つ、という感じ。
花ハ踊レヤいろはにほ - チーム "ハナヤマタ"
作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:田中秀和 (MONACA)
「あらかじめ保証された泡沫の輝き」というのが、部活系アニメ(例えそれが帰宅部をテーマにしていたとしても!)においては絶対的なシートベルトとして機能する訳です。それを「ボーイ・ミーツ・ガール」という形で示したゼロ年代の最高地点が今のところ「涼宮ハルヒの憂鬱 (2006)」であるならば、それ以降散見されるあらゆる試みにおけるうちのひとつである「ガール・ミーツ・ガール」というアプローチを映像的にも音楽的にも巧く表現できているのがこの曲。まぁ、やっぱりアイマス好きとしては、ぬーさまありがとうに尽きるのだけれども…
Brand New Days - 花澤香菜
作詞・作曲・編曲:矢野博康
冒頭から漂いまくっている「キラキラ」感が、まるで "into the night - Rhymester" のようだ…と思っていたら、それもそのはず、両曲とも手掛けているのは矢野博康さんという驚き。女性声優さんが「口ドラム」と「アイドルラップ」を繰り出すというフェティッシュな内容なはずやのに、花澤さんのクリーンな声質(魅力の内の、ひとつ)と溢れだす「キラキラ」のおかげでとてもスッキリした一曲に。
夏は子どもたちのために - y0c1e
あまり SoundCloud の作品は挙げないつもりなんやけど、出色の出来だったためやむを得ず取り上げる一曲。サムネイルの通り、アニメ「のんのんびより」のテーマをベースにした Resort Lover なリミックス。だからこそ「夏は子どもたちのために」というタイトルと、曲最後に引用されるれんちょんとほたるんのやり取りに、死にたくなってしまいます。
ON THE AIR - パスピエ
Words by 大胡田なつき / Music by 成田ハネダ / Arranged by パスピエ
僕みたいな地方出身者にとっては、この曲は「上京物語」としてしか聴くことができない。タクシーの助手席から見える丸の内。御成門から見える東京タワー。節度ある間隔でリズムを刻む皇居ランナー。今日も、東京の街は、綺麗で。
△ - パスピエ
Words by 大胡田なつき / Music by 成田ハネダ / Arranged by パスピエ
それにいよいよ取り掛からなきゃと思い立つ貴重な瞬間に逡巡する思いの往来を、抽象的な「△」という記号を持ち出して弄ぶ、可愛い一曲。右往左往する感じとか、短絡的思考が止めどなく溢れては消える様子を、メロディーでうまく表現できていると思います。
何を言う - 赤い公園
作詞・作曲:津野米咲
「それは何万語費やすよりも饒舌(宇多丸師匠)」というのがポピュラーミュージックの本懐なのだとすると、これはすごく強度がある一曲。語り過ぎていないし、奏で過ぎていないのに、充分すぎるほど重くて強い。こういう曲を作るときってどういうことがきっかけなのだろうと、素人の私は聴いてみたくなります。