tossy

アヒルが、ガーガー

【定期ポスト】最近の曲々 (August, 2015)

トランキライザー、ペインキラー…音楽は痛みを和らげる科学的な効能があるとか、なんとかという記事を読みましたが、果たして。

 

A&E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn / Clean Bandit
(J.Patterson, G.Chatto) / Produced by Jack Patterson / Jack Patterson (key, steel ds) Neil Amin-Smith (violin) Grace Chatto (cello, backing vo) Luke Patterson (ds) Nikki Cislyn (vo) Kandaka Moore (vo) Beatrice Philips (violin) Asher Zaccardelli (viola)

A+E (feat. Kandaka Moore & Nikki Cislyn)

A+E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn

  • Clean Bandit
  • Dance
  • ¥250

持ち合わせた音楽的バランス感覚の良さというか、正直センス良すぎてちょっとムカつくぜぐらい言わせてくださいというのが、一曲しか知らなかった状態からアルバムを聴いてみた感想。先日うちに遊びに来てくれた、知能指数高い系女子(誠心誠意褒めてる)が彼らの音楽が好きだと言っていて、うーん、納得。この楽曲は例の ”Rather Be” の次の曲順で、この曲を皮切りに「じゃあツボを突いていきますねー」という流れに持ち込んでいかれる。幅広い音楽性が、繰り返しになりますが、憎い方々です。

 

I Can't Wait (Powermix) / Nu Shooz
(J.Smith)

I Can't Wait (Powermix)

I Can't Wait (Powermix)

  • Nu Shooz
  • Pop
  • ¥150

前回ブログを書いてから、音楽視聴的に変化があったと言えば Apple Music というわけだが、これが今ひとつ使いこなせていない。用途として今のところ(なぜか)機能しているのは「これの元ネタなんやったっけ…検索してみるか」というとき。別に YouTube でええんやけど、一曲聴いてみようかと思うときにその再生元が iTunes 上にあるというのが、意識的に実は大切なのかも知れない。この曲は KREVA が自身のアルバムを PR するために「勝手に Remix」していたときのサンプリングネタ。原曲で大胆にボーカルをネタにして使っているのが心地良く、それをそのまま活かしてラップしてた KREVA もカッコ良かった。

 

She is my new town (tofubeats west-kobe remix) / 藤井隆
作詞:Seiko Matsuda / 作曲:Seiko Matsuda, Ryo Ogura / Remixed by tofubeats / 藤井隆 (vo) Seiko Matsuda (chorus) tofubeats (programming)

なんと iTunes にない!が、藤井隆がまたもや生み出したクラシック “COFFEE BAR COWBOY” から紹介したかったのは、やっぱりトーフくんの一曲。もちろん(というか、やっぱり)松田聖子プロデュースの原曲自体が、焦点の定めにくい浮遊感と多義性をはらんだ印象を持った不思議な魅力を強く持っていてステキ。そのうえで “new town” であるところの tofubeats くんが、これまた「真正面から楽曲を引き受けて」リミックスをしていて、なんとも背筋が正されるようなポップスになっている。正座して聴くべきレベル。

 

おしえて / Avec Avec
Produced by Takuma Hosokawa

2012 年に公開されていた楽曲だったのを今頃知り、美しすぎて辛い一曲としてなんども聴き返している、非常に「エモい」作品。なにもかも、この渦のなかに、放り込めれば良いのに、というか、なんというか。この楽曲が含まれたフリーダウンロードできるアルバムには、坂本真綾が歌った「悲しくてやりきれない」のリミックスが入っており、それも必聴です。

 

ミュージック / DAOKO
Lyrics: DAOKO / Music: PARKGOLF, DAOKO / Arrange: PARKGOLF / Sound Produced by 片寄明人 (GREAT3, Chocolat & Akito)

ミュージック

ミュージック

  • DAOKO
  • Hip Hop/Rap
  • ¥250

川村元気トータルプロデュース!という凄まじい布陣でメジャーデビューを飾った DAOKO が自身の名をアルバムの名としたファーストは、tofubeats "水星" を彼女が「太陽が照らす小田急線内」というフレーズで歌いこなすところから始まる。が、聴けば聴くほど、どこにも DAOKO は見当たらない。その非実在性こそが彼女の大きな特徴だと、やっぱり思う。どれだけ日常的な歌詞やテーマを歌おうとも、いや、むしろ歌えば歌うほど、彼女はどこにも存在していないように感じられる。ラップの根本的なスタート地点が「オレはここでお前にこのことを伝えてるんやから、耳貸せ馬鹿野郎ども」なら、随分遠いところまで来た。しかしそれはまったくハッピーなことで。

 

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI / れるりり
作詞・作曲:れるりり

脳漿炸裂ガール feat.初音ミク、GUMI

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI

  • れるりり
  • Anime
  • ¥250

仕事のイベントで数日間展示ブースに立ち尽くしていたときに、自社ブースでこの楽曲が鳴り続けていて、さすがに耳から離れなくなってしまった。それにしても、niconico 的な価値観もそうやし、僕が尊敬して止まないやくしまるえつこ先生もそうやけど、どうして「いま、このとき」を客観的に描いているなと思えるときに相応しい枕詞が「どうでもいいけど」なんやろう。システムの複雑性が高まるいっぽうである時流において、自らの領域を「いったん確保」するために持ち出す便利な言葉として「どうでもいいけど」は重宝するんやけど…少なくとも「どうでもいいけど」は、ゆとり・さとりからもたらされるバズワードではないとだけは思う。どうでもいいけど、の向こう側に、何を読み解くかが、まずスタート地点なのかもしれへん(か?)。

 

SOMINSAI featuring PUNPEE / RHYMESTER
Produced by PUNPEE (PSG) / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸, PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

「どうでもいいけど」と思いながらも、容易くそんなこと口にできないのが、社会人。とは言え、だからと言って誰かに責任転嫁するわけでもない。自分はあくまでも両義性の一方を担っているだけに過ぎず、他方が持っている論理というのは自らのそれと同様に尊重されるべき時代。とは分かりつつも、しかし、それを「頭で理解できても、身体は発作起こしてる」ときに、僕たちはその状況へどう立ち向かえば良いか。という点について、奇祭である「蘇民祭」をモチーフに許しを与えてくれる作品が、これ。今回のアルバムについてライムスが提示した「美しくあろうと願い続けること、それが唯一のプロテストである」については、昨年春に書いていた内容そのままで、本当に救われました。

 

POSITIVE (tofubeats demo vocal version) / tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Guitar by ug noodle / Chorus by tofubeats, okadada

今年の下半期のテーマは間違いなく “POSITIVE” なのです。進歩史観よりも、ダンシン・スルー・ザ・ナイト。だいじょうぶ。