tossy

アヒルが、ガーガー

【定期ポスト】最近の曲々 (May, 2015)

数カ月ぶりに定期ポストを。毎日を突き動かしてくれる EDM が今の気分ではありますが、それ以外にも琴線に触れた作品をご紹介。好きだと思えたものをきちんと言葉に起こす訓練は、なるべく休まず行わなければいけないなぁ。

 

STAKEHOLDER / tofubeats
Produced by tofubeats

STAKEHOLDER

STAKEHOLDER

メジャーデビュー後、森高千里藤井隆といった手練たちとコラボレーションを重ねてきた彼が、背負っていた荷物を少し下ろして、慣れとウィットに富んだ音楽を提供してくれるミニアルバムの表題曲がこれ。2015 年の打ち込み音楽として、緩急ハッキリした展開は常套手段ではあるけれど、この曲に関しては「緩い」メロディの上品で物憂げな流れと「激しい」フックの狂おしい可愛げが絶妙に調和していて、なんど聴いても気持ち良い。そして言うまでもなく、MV (YouTube) はたまらない出来。是非一枚通して聴いてもらいたい。

  

Lay Me Down / Avicii
T.Bergling, A.Pournouri, N.Rodgers, A.Lambert / Produced by Tim Bergling / Co-Produced by Nile Rodgers / Vocals by Adam Lambert / Backing Vocals by King, Russell Graham

Lay Me Down

Lay Me Down

  • Avicii
  • Dance
  • ¥250

最早リリースから随分時間が経っており、新曲もすでにたくさん出ているなかでようやく聴いた Avicii のアルバム。どのトラックも「やりすぎてない EDM」として非常に好感が持てる。エモいけどエモすぎず、ソリッドやけど尖り過ぎてないっていう絶妙なバランスが人気の理由なのかなと思っているなか、いちばん聴きこんでいるのがこの曲。ベースラインとカッティングの心地良さを何重にも聴かせて、これでもかと期待を煽ったあとに、ガツンと音サビを持ってくる「周到さ」がたまらない。ホント、さすがナイル・ロジャースとしか言いようがないし、位置づけ的にも “Random Access Memories / Daft Punk” の正統後継曲という感じかなと思う。

 

Get Wild 2015 - Huge Data / TM NETWORK
Words: Mitsuko Komuro / Music: Tetsuya Komuro / Guitar: Kazuhiro Matsuo / Produced by Tetsuya Komuro

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

そんな Avicii を TK が賞賛したり、アルバム “DRESS” ではナイル・ロジャースとの共作も見せたりと、さすがな歴史と現在を見せつけてくださる TM NETWORK の最新作。ライブごとにアップデートされていくゲワイ最新版はこれですよー、という「永遠のベータ感」を感じる曲って、早々ないわけで、まずその点が面白い。曲そのものとしても、変化の速い EDM シーンのトレンドを取り込むだけでなく、不穏さを醸し出す声ネタ使いや、アコースティックギターのカッティングによる期待感の醸成、導入部の力強いアルペジオパターンなど、原曲の持つ多面的な表情を手を変え品を変え表現している。11:13 という演奏時間が短く感じるくらい、密度の高い一曲だと思う。

 

O.R.I.O.N. / 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
Words: STY / Music: STY, Maozon / All Instruments and Programming: Maozon / Additional Instruments and Programming: STY / Produced by STY

O.R.I.O.N.

O.R.I.O.N.

サンレコ 2015.03 号で D.O.I. 氏が “R.Y.U.S.E.I.” を紹介していたことをきっかけに、縁遠かった三代目さんたちのアルバムを手にしてみて、気に入った一曲。もちろん “R.Y.U.S.E.I.” も出色の出来やと思う(なんてったってレコード大賞)けど、個人的にはこちらが好み。おそらく細切れのサビよりも大サビへ向けた展開がある EDM のほうが好きだというだけの話ですが、それぞれ良い作品だと思う。三代目にせよセカオワにせよ、音サビがどんどん流行ってくれたらうれしいなと思う次第です。

 

K-Pop Culture / TAK
Mashuped by TAK

そういった EDM の流れを日本よりもずっと前から上手に取り入れているのは K-POP で、そのいいとこ取りを上質なマッシュアップで聴かせてくれる TAK の作品。一躍その名を世界に轟かせた “Pop Culture / Madeon” の K-POP バージョンという位置づけなので、どちらも併せてぜひお聞きください。

 

透明人間 / Perfume
作詞・作曲:中田ヤスタカ (CAPSULE) / Written, Arranged & Produced by Yasutaka Nakata (CAPSULE)

透明人間

透明人間

待ちに待った彼女たちの新作 3 曲は、すべて違った魅力を持った作品だけれど、なかでも敢えてタイトルになっていないこの曲をご紹介。タイトルを見た時点で、歴史的名作である “Englishman in New York / Sting” 的な連想が生まれてしまうなか、その期待を裏切らない美麗なメロディと 3 人の歌声に力強い四つ打ちが相まって、聴き手の深いトコロがグッと持っていかれる感じ。アウトロに用いられている流れも、感傷に浸れる余韻をやり過ぎない範囲で演出してくれているのが嬉しい、物悲しくも元気づけられる一曲。

 

We Are So in Love / 花澤香菜
作詞・作曲・編曲:矢野博康

We Are So in Love

We Are So in Love

“into the night / Rhymester”, “Brand New Days / 花澤香菜” と最高な「キラキラ」を届けてくださる矢野博康作品の最新作。挙げた過去二作よりは少しアーバンポップさを増しつつも、絶賛恋愛中という主人公の浮かれっぷりを、その「当人にしか分かり得ない」言葉遣いとともに表現している点が心地良い。少しメタっぽいことを言うならば、誇張が過ぎる歌詞や上ずった表現を花澤さんの声で届けるという「嫌らしいまでのグッドチョイス」が、益々キラキラしていてたまらない。この辺のプロデュース感覚は、やはり北川勝利さんの妙技なのだろうか。

 

Still Changing / Rhymester
Produced by BACHLOGIC / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸

Still Changing

Still Changing

すでに YouTube の紹介はしたけれど、楽曲としてリリースされて、聴きこんで、やっぱり良曲であると取り上げざるをえない作品。同録の「人間交差点」は、語弊を恐れずに言うならば “ONCE AGAIN” 以降ライムスファンになったリスナーに真っ直ぐ刺さる曲を目指したのかな、という感じ(とは言え、DJ JIN の野太いトラックと宇多丸師匠のエグいライミングは必聴の名曲)。いずれにせよ、この一曲くらいのセルフコンフィデンスの持ちようが、僕にとってはちょうどいいのです。

 

これでよければいくらでも (Instrumental) / KREVA
Words & Music by KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

これでよければいくらでも(Inst.)

これでよければいくらでも(Instrumental)

  • KREVA
  • Hip Hop / Rap
  • ¥250

現在行われている、47都道府県 TOUR 2015「UNDER THE MOON」の発表時に公開された動画で、バックトラックとして初公開された一曲。もちろん後のせラップも聴き応えあって良いのだけれど、敢えて Instrumental で聴きたくなる。聴けば聴くほど、ヒップホップマナーに則った上での新鮮さと心地良さを同居させたトラックメイキングに関して、KREVA 御大というのはつくづくスキルフルなミュージシャンなのだと感じさせられる。

 

Under The Moon / KREVA
Words & Music by KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

Under The Moon

Under The Moon

  • KREVA
  • Hip Hop / Rap
  • ¥250

変則さを取り入れながらも、バランスを崩すことなく聴かせるトラック。経年劣化することのない平易な言葉で構成されたテクニカルなラップ。スキルがどうこう、というよりも、目的に対して至極真っ当なプロセスを辿ることで作品を成立させている「総合的な構成力」が何よりもすごい一曲。こういう感覚を保ち続けている KREVA 御大が、やっぱり僕は大好きです。