tossy

アヒルが、ガーガー

ぼんやりと

少し寝てみたりもしたが、どうも頭に靄がかかっているようでぼんやりとした感じで、物事に集中できない。

米大統領選の行方を見ていた。驚くべき勝利と、それを全く言い当てられなかった社会調査の限界めいたものを見た。見たいものしか結局は見ていないのか、物事の両義性を把握しようとできるなんて考えるのは、おこがましいだけなのか。これもまた、ぼんやりと考える。

この 10 年で自分は何が変わったのか・変わらなかったのか、ということを考えてみたりする。正直全然「成長」「向上」はできなかったな、というのがひとつめの感想ではある。ただ、自分が社会の中で担いたい/信じたい側面というのは、自然と固定化されつつあるように思う。要するに 10 年前よりも好きなものはより好きになり、好きになれないものはより好けないようになったということ。

それを望むかどうかに関わらず、時間を経てやっぱり可能性は潰れてきているし、狭まってきていると考えるのが、まずは妥当なのだろう。それでいい。そうじゃないなら、それこそ何をやってきたんだという話になる。

ひとつひとつ確認しながらじゃないと進めないし、その速度は、まぁ遅い。ただそれは、別に恥ずべきことじゃない。まずはそこから始めよう。怖がっているし、怯えているが、それを受け止めないと。なぜならそれも、自らが打ち出したい価値の一部なのだから。

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鴨鍋。美味しかった。

半年後

ほぼ半年ぶりの更新。その間に、会社を休んで、辞めて、地元に帰ろうとして、それを思い直して、すこし都心から離れた場所へ引っ越した。言葉にすると呆気ないし、実際かなり呆気ないんやけど、少なくとも前回ブログを書いたときに今のような半年後が待っているとは想像していなかった。

かつて同じような状態になって、そこから再び動けるようになってきたときに、とにかく前へ!ということを大事にしていた。それらはおそらく、勢いが衰えることでまた動けなくなってしまうことが怖かったから。動き直し方の質がきっと大切なんだろうし、イメージとしては勢いが削がれてもゆーっくりと惰性では進んでいられる、みたいな。意思なくしてなんとやら、とは言うが、より大切なのは意思が伴わなくても多少の物事は進められるスタンスなのだろう。

自分にとっての「したいこと」はまだ具体的にはなっていないし、彼の人が言うとおり多分まだ手が届かない。だからと言って諦める必要があるわけではない。離れすぎずに、手を届かせられそうな場所に居続けることが、僕みたいなノロマにはどうしても必要なのは、頭ではずっと分かっている。あとはそれを続けていける身体が自分で自分に用意できれば、ということなのだけど。うーん、それがやっぱりどうして、自分の力だけでは難しい。

もう一ヶ月はぼんやりと考えても良いとお墨付きをもらったので、ほどほどに動きつつ、ブログも書きつつ、やってみたいと思う。

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居た堪れない

身体が重い。ネガティブなことはあまり書きたくないが、すこし動くだけでもキツいなぁと思ってしまう。心に、拠り所がない。一言で言うなら、居た堪れない(感情を表現している漢字だ)。

自分の思いを言葉に、表現にしたいと思うが、その思いは生まれてもすぐに居た堪れなさにかき消されてしまう。そんななかにある自分の「強い思い」は、今のところ物凄くネガティブな方向を指向しているものばかり。どうにかならんのか、お前は。と、天を仰ぎたくもなってくる。

10 年だ。社会と接し、酒を飲み、タバコを吸うようになって、まもなく 10 年になる。この 10 年に学ぶところを感じ取れるなら、次の 10 年はどう改善できるだろうと考えてしまう。このまま続くのは、やはり辛い。

自分の人生、どうしたいのか、どう転ばせたいのか。10 年前の自分はそんなこと少しも考えたことがなかった。文字通り、どうにかなると思っていた。

でも、本当は今よりも、もっともっと「人任せ」にできなきゃ、下手な自己完結でバッドエンドになってしまうんじゃないかとも思う。人を信用すること、そうできる自分を応援してあげられるようになること。幸いは、誰かが運んできてくれるもの(結果的にはいつだってそうだ)。それを引き寄せられる自分になりたい。

身体が重い。物理的な部分で言うと、食うのを止めるほかない。心理的な部分で言うなら、難しい。いちばん暗いのは夜明け前、なのだろうか。一般論は意外に的を得ているという言葉を信じてみたくもなる。

私的 2015 年ベスト 15 曲

iTunes で再生回数上位の曲から抜粋したというだけですが、2015 年の気分みたいなものを残しておけたらと思い、記事にしてみます。一応今年で三年目です。

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The Days - Avicii
T.Bergling, S.Al Fakir, V.Pontare, R.Williams / Produced by Tim Bergling, Salem Al Fakir, Vincent Pontare / Vocals by Robbie Williams

The Days

The Days

  • Avicii
  • Dance
  • ¥250

ほぼ演歌扱いの EDM なのでかなりよく聴いた。ラストの大サビで転調が入るところがかなりエモい。ぼくらは今でも若いが、同時に若かったという時代も持っているという。

 

ハロー、グッバイ - chalot
Written, Produced and Mixed by Naoki Kono / Vocal by Cosame Nishiyama

トレンディって表現は今の時代ではむしろ古い感じがすると思うけど、この曲は例外で、今っぽいトレンディさが溢れている。大人になるための歌であり、東京の歌であり。

 

Walls - Slaptop

Walls

Walls

  • Slaptop
  • Electronic
  • ¥250

品があるドロップを持った曲というのをこの作品以外ではなかなか知らず、中毒性ある一曲。サッカーゲーム FIFA 16 収録曲。ウイイレよりも収録曲のセンスはやっぱり FIFA が一枚上手。

 

I Believe In You - tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Additional Voice by tofubeats / Produced by tofubeats

I Believe In You

I Believe In You

こういう曲が今の体調(心境)に一番マッチしてるなと思うと、本来は好きだったはずの所謂 J-Pop とか歌謡曲に対して、無性に味が濃いように感じてしまう。

 

デートTIME - ミネラル★ミラクル★ミューズ
作詞:SINBYI / 作曲:横山裕章 / 編曲:玉井健二, 古川貴浩 / 歌:真野まり(CV: 戸松遥)三澤瑞希(CV: M・A・O)森田萌(CV: 山崎エリイ)/「サムライフラメンコ」第 1 クール Ending Theme

デートTIME

デートTIME

  • ミネラル★ミラクル★ミューズ
  • Anime
  • ¥250

ノイタミナのベストアルバムに入っていて実は気に入って何度も聴いていた。後半の間奏部へ持って行くための緩やかな転調部が、その不安定な音階運びも含めて好きです。デンパじゃないけど、中毒性ある一曲。

 

Get Wild 2015 (Huge Data) - TM NETWORK
Words: Mitsuko Komuro / Music: Tetsuya Komuro / Guitar: Kazuhiro Matsuo / Produced by Tetsuya Komuro

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

Get Wild 2015 -HUGE DATA-

一時期ライブ音源のゲワイをよく聴く時期があったなか、2015 バージョンが iTunes 配信されたので飛びついた一曲。ツアーで TK が使っていた特徴的なメロディラインと、アコギのカッティングの演出が心地良い。

 

水星 - DAOKO
Lyrics: Onomatope Daijin, tofubeats, DAOKO / Music: tofubeats / Arrange: PARKGOLF / Sound Produced by 片寄明人 (GREAT3, Chocolat & Akito) / Original:「ブロウ ヤ マインド 〜 アメリカ 大好き」(Lyrics: Koji Imada, Towa Tei / Music: Towa Tei)

水星

水星

  • DAOKO
  • J-Pop
  • ¥250

DAOKO らしさを「太陽が照らす小田急線内」という歌い出しからこれでもかと打ち出していくこの曲は、メジャーデビューの一曲目に相応しいかと言われれば、ぐうの音も出ないレベルで 2015 らしいナイスチョイス。ズルいよねと言うことくらいは許されたいけど。

 

We Are So in Love - 花澤香菜
作詞・作曲・編曲:矢野博康

We Are So in Love

We Are So in Love

  • 花澤 香菜
  • Anime
  • ¥250

矢野博康さんのキラキラシリーズから一曲。絶賛恋愛中という、当人たちの意識と他者からの視線に壮絶なギャップが生じている状態を花澤さんに歌わせるという、ある意味でえげつない一曲。

 

She is my new town (tofubeats west-kobe remix) / 藤井隆
作詞:Seiko Matsuda / 作曲:Seiko Matsuda, Ryo Ogura / Remixed by tofubeats / 藤井隆 (vo) Seiko Matsuda (chorus) tofubeats (programming)

雰囲気が漂いまくりの原曲を "dj newtown" でもあったトーフくんがアーバンに、2015 っぽく調理しなおした一曲。隆は色気のある曲似合うよね。お笑い芸人ですよ、信じられない。

 

ペインキラー - RHYMESTER
Produced by KREVA / Lyrics by 宇多丸, Mummy-D

ペインキラー

ペインキラー

KREVA がライムスターに曲を提供するということ自体に世紀末感を覚えるけど、それはさておいて、不穏な響きと説得力のあるラップが噛みあった良曲。同時期に KREVA が作っていた曲が「トランキライザー」だったというのも面白い。そういうムードですよ、ヒーリングとか安易に言うなっていうね。

 

Still Changing - RHYMESTER
Produced by BACHLOGIC / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸

Still Changing

Still Changing

2015 の元旦に YouTube で PV が初公開となった楽曲。年初とか、体調崩したあとに、がんばっていかなあかんわーっていう気持ち盛り上げソングとしてよく聴いていた。BL のトラックでも、ライムスターに対してこういうメジャーな印象ある曲があてがわれたのは初めてでは。

 

Lay Me Down - Avicii
T.Bergling, A.Pournouri, N.Rodgers, A.Lambert / Produced by Tim Bergling / Co-Produced by Nile Rodgers / Vocals by Adam Lambert / Backing Vocals by King, Russell Graham

Lay Me Down

Lay Me Down

  • Avicii
  • Dance
  • ¥250

未だに Avicii くんの曲ではいちばん好き。ナイル・ロジャース成分がデカいと思うけど、オーガニックな EDM とでも表現すればいいか、生活のなかでカタルシスをガツンと与えてくれる楽曲を Avicii くんは提供してくれているんだと感じられた一曲。

 

Under The Moon - KREVA
Words & Music by KREVA / Programming & All Instruments by KREVA / Produced by KREVA

Under The Moon

Under The Moon

  • KREVA
  • Hip Hop/Rap
  • ¥250

この曲に関するインタビューで KREVA が「曲を作るときに毎回言いたいことがあるわけじゃない」みたいなニュアンスを語っていたのがすごく印象に残る。だけど音楽を作るし、働くし、生きてくみたいな。そういう、地に足の着いた感覚がちゃんと伝わってくる一曲。

 

POSITIVE featuring Dream Ami - tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Vocal by Dream Ami / Guitar by ug noodle / Chorus by tofubeats & okadada / Produced by tofubeats

POSITIVE feat. Dream Ami

POSITIVE featuring Dream Ami

結局今年も tofubeats くんばかり聴いているなっていうまとめになってるけど、この曲の存在はやっぱり大きかった。未来には期待したいし、です。

 

STAKEHOLDER - tofubeats
Produced by tofubeats

STAKEHOLDER

STAKEHOLDER

最も聴いた回数が多かったのはこの曲。刹那の狂乱と、穏やかな死というか。ともかくこの曲が 2015 のテーマなんだったとすると(事実かなり聴いてる)、やっぱり混乱し続けていた一年だったんだろうな。

 

今年はもうちょっと他のミュージシャンにも手を出せるようにしてみたいです。

【定期ポスト】最近の曲々 (December, 2015)

それでも前へ進むことが人間として必要なんだと思わせてもらえるのは、気高い人たちが確かに存在していることを知っているから。ということで、もがく私を彩ってくれた曲々をご紹介。

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Sunset Jesus - Avicii
T.Bergling, C.Falk, R.Yacoub, M.Posner, G.D.Graw, D.Lennevald, S.Cavazza, S.Kotecha / Produced by Tim Bergling / Additional Production by Dhani Lennevald / Vocals by Sandro Cavazza

Sunset Jesus

Sunset Jesus

  • Avicii
  • Electronic
  • ¥250

新作 “Stories” は、きちんと生活の中に取り込める曲も多くて、お作法としては EDM であるけれど日常的に聴けるというか、そういう Avicii 作品が広がりを見せている様子が十分にうかがえる一枚。とは言え、彼に期待する「上げてくれぇ、オレを、上げてくれぇ…」みたいな気持ちを裏切らない、この一枚におけるハイライトが、”City Lights”, “Pure Griding” を経てこの曲へと連なる三曲ではないかと思ってる。一曲目で高められ、二曲目で憤らせられ、そしてこの曲でガツンとカタルシスを与えられる。とは言っても、どの曲にも、なんというか、思い描ける風景が確かにあって、ちゃんと泥も土もついてる音楽という感覚が持てる。

 

A Sky Full Of Stars - Coldplay
G.Berryman, J.Buckland, W.Champion, C.Martin, T.Bergling / Produced by Coldplay, Paul Epworth, Daniel Green, Rik Simpson / Co-Produced by Tim Bergling

A Sky Full of Stars

A Sky Full of Stars

初めて聴いたときは「ええ歌や」としか思ってなかった Coldplay の名曲が実は Avicii プロデュースということを知り、神様ありがとう、という満たされた気分に。Coldplay が Avicii をフックアップしたのも、彼がフロアへの曲しか作れないような作家ではなく、シンガーソングライターとしての叙情性(それもけっこうなまでにユースで青い)を持ってることを十分に評価しているからだと思う。言うまでもないことですが。ちなみにこの曲が収録されてるアルバム “Ghost Stories” のクレジットには、Madeon の名前もリストされていて、確かに至福な一枚になってるのです。

 

Walls - Slaptop

Walls

Walls

  • Slaptop
  • Electronic
  • ¥250

サッカーゲームがしたいなと思い、FIFA シリーズなのか、ウイニングイレブンシリーズなのか、今買うならどっちなのかをムダに考える数週間という期間があった。そのとき FIFA シリーズにこの曲が採用されていたというたった一点で、何と PS4 まで買ってしまったという罪深い一曲。これまで聴いたドロップ(音サビ)がある曲のなかで最も品があるというか、悲しい気分になるドロップって初めて聴いたので、その印象が強烈で思い入れの強い作品になった。単にエフェクト掛けたドロップにやられてるだけって話もあるけど、音の取捨選択が他の曲と違うだけで、こんなに物思いにふけられるのかと思って、けっこう考えさせられてます。目的が明確だった音楽ジャンルが、いろんな派生をしている様子(生態の変遷?)を確かめられるのは、やっぱり音楽の醍醐味。

 

お願い!シンデレラ - CINDERELLA PROJECT
作詞:marhy / 作曲・編曲:BNSI(内田哲也)/ Starring: 島村卯月(CV: 大橋彩香)渋谷凛(CV: 福原綾香本田未央(CV: 原紗友里赤城みりあ(CV: 黒沢ともよ)アナスタシア(CV: 上坂すみれ緒方智絵里(CV: 大空直美)神崎蘭子(CV: 内田真礼城ヶ崎莉嘉(CV: 山本希望多田李衣菜(CV: 青木瑠璃子新田美波(CV: 洲崎綾双葉杏(CV: 五十嵐裕美前川みく(CV: 高森奈津美三村かな子(CV: 大坪由佳諸星きらり(CV: 松嵜麗

お願い! シンデレラ (CINDERELLA PROJECTver)

お願い! シンデレラ (CINDERELLA PROJECTver)

  • CINDERELLA PROJECT
  • Anime
  • ¥250

でもいっぽうで、一直線にひとつの目的を満たすためにひた走る音楽というのも、やっぱり必要だし素敵で。フロアライクという意味では、前述の EDM 的な音楽たちよりも、この曲のほうがずっと一途。歌詞としては「もう一回」と「進もう!」だけで、もう十分。この曲と “The Days / Avicii” は、今の僕にとって完全に演歌扱いです。

 

愛のまぼろし featuring tofubeats (Music Video) - G.RINA
Words, Music & Produced by G.RINA with tofubeats / Director: Shunsuke Sugiyama

鬼名曲の “No.1” のアンサーソングとして作られたとのことですが、人は許しをどのように乞うのか、という点について描かれた曲であり、そのミュージックビデオなのかなと思って何度も観返しています。監督であるスケブリさんが「いろいろ出しきって搾りカスみたいになってます。」とツイートされていたけど、とにかく細かく行き届いた(ちょっと行き届きすぎてる?)くらい描写がなされた作品なので、是非映像付きで聴いてみてほしい。

 

I Believe In You - tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Additional Voice by tofubeats / Produced by tofubeats

I Believe In You

I Believe In You

アルバム “POSITIVE” に関してトーフくんの色々なインタビュー記事を読んだけど、一番思い入れのある曲として語られていたのがこれ。前作のアルバムもそうだけど、最後にこういう突き抜けて自らの本領をさらけ出せるというのは、彼が色々な形での楽曲制作をしているからこそ、なのかなぁと思う。自分の作品まで客観的で迎合的に締めくくられていたら、やっぱりそれはちょっと悲しいし、そういう意味でこの曲があるということが、聴き手としてもすごく救われる気持ちになれる。ありがとう、トーフくん。これからもめっちゃ応援してます。

コンセプトとスケール

「胸が大きめの女性は、可愛いと思って手に取ったブラジャーでも、寸法自体が大きくなってしまうことで、自分のサイズじゃ何だか可愛く思えなくなりがち」という話を聞いたことがあり、すごく面白い話だと思った。

「寸法で可愛さが変わる」ということって、思いの外、世の中のいろんな箇所に溢れている。たとえば自分の経験で言えば、ユニセックスで楽しめるスニーカーとかで、小さめのサイズ(主に女性が履いている想定)で見たらすごく欲しいんだけれど、自分のサイズ(例えば 27.5cm とか)で実物を見たら途端に意欲が下がるというようなタイプのスニーカーがある。adidas で言うなら「ultra boost」はサイズが大きくても良さそうだが、それが「ZX FLUX」になると途端に許せなくなる、とか。

そういう「良いと思っても、サイズ感を鑑みた後に、関与しにくくなっちゃう」みたいなことは、おそらく自分がそういう感覚を大切にしたいと思っているが故に、よく感じてしまう。サイズ感、と言えば良いか、スケール、と言えば良いか。重く(大きく)なってしまうことで、元来のミニマムさが低減されてしまう場合、特にそういった感情を持ってしまうように思う。

【以下、飛躍】

書き下ろされたコンセプトが、その時点でのスケール(寸法)では魅力的に思えても、拡大縮小されたことにより、なんだか魅力が感じにくくなるということ。これについて考えると、その事象自体についてはうまく結論が思い浮かばないのだけれど、逆に言えば、そういう変更が生じてもなお魅力が上下しないコンセプトワークって、めっちゃすごいってこと。個人的にはそういう「スケールに左右されにくい」コンセプトに引っ張られて制作されたものの価値が、もうちょっと世の中で理解されてほしいなぁと思う。

作った人は「何を引き算したか」分かっていても、それを見る人には「何を引き算したか」はまず分からない。そんなこと考えなくても「いいものはいい」のかも知れないけど、でも「あらかじめ棄却された可能性たち」について、制作者の一万分の一でも思考を巡らせられれば、少しは呼吸のしやすい社会になるんじゃないかなぁ…と偏想しがちな昨今です。

素直に「洗練されすぎていると思考の余地を感じにくい」という、いつもの話なのかしら。でも最近デザインに対して、意味を求め過ぎなんじゃないかなぁという気がするし、別にそれは良い悪いではなく、今の傾向なのかなぁと思い、その程度の文脈感を持って状況を見守りたいなぁなんて思います。

2015-05-04 14:57:11

【定期ポスト】最近の曲々 (August, 2015)

トランキライザー、ペインキラー…音楽は痛みを和らげる科学的な効能があるとか、なんとかという記事を読みましたが、果たして。

 

A&E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn / Clean Bandit
(J.Patterson, G.Chatto) / Produced by Jack Patterson / Jack Patterson (key, steel ds) Neil Amin-Smith (violin) Grace Chatto (cello, backing vo) Luke Patterson (ds) Nikki Cislyn (vo) Kandaka Moore (vo) Beatrice Philips (violin) Asher Zaccardelli (viola)

A+E (feat. Kandaka Moore & Nikki Cislyn)

A+E featuring Kandaka Moore, Nikki Cislyn

  • Clean Bandit
  • Dance
  • ¥250

持ち合わせた音楽的バランス感覚の良さというか、正直センス良すぎてちょっとムカつくぜぐらい言わせてくださいというのが、一曲しか知らなかった状態からアルバムを聴いてみた感想。先日うちに遊びに来てくれた、知能指数高い系女子(誠心誠意褒めてる)が彼らの音楽が好きだと言っていて、うーん、納得。この楽曲は例の ”Rather Be” の次の曲順で、この曲を皮切りに「じゃあツボを突いていきますねー」という流れに持ち込んでいかれる。幅広い音楽性が、繰り返しになりますが、憎い方々です。

 

I Can't Wait (Powermix) / Nu Shooz
(J.Smith)

I Can't Wait (Powermix)

I Can't Wait (Powermix)

  • Nu Shooz
  • Pop
  • ¥150

前回ブログを書いてから、音楽視聴的に変化があったと言えば Apple Music というわけだが、これが今ひとつ使いこなせていない。用途として今のところ(なぜか)機能しているのは「これの元ネタなんやったっけ…検索してみるか」というとき。別に YouTube でええんやけど、一曲聴いてみようかと思うときにその再生元が iTunes 上にあるというのが、意識的に実は大切なのかも知れない。この曲は KREVA が自身のアルバムを PR するために「勝手に Remix」していたときのサンプリングネタ。原曲で大胆にボーカルをネタにして使っているのが心地良く、それをそのまま活かしてラップしてた KREVA もカッコ良かった。

 

She is my new town (tofubeats west-kobe remix) / 藤井隆
作詞:Seiko Matsuda / 作曲:Seiko Matsuda, Ryo Ogura / Remixed by tofubeats / 藤井隆 (vo) Seiko Matsuda (chorus) tofubeats (programming)

なんと iTunes にない!が、藤井隆がまたもや生み出したクラシック “COFFEE BAR COWBOY” から紹介したかったのは、やっぱりトーフくんの一曲。もちろん(というか、やっぱり)松田聖子プロデュースの原曲自体が、焦点の定めにくい浮遊感と多義性をはらんだ印象を持った不思議な魅力を強く持っていてステキ。そのうえで “new town” であるところの tofubeats くんが、これまた「真正面から楽曲を引き受けて」リミックスをしていて、なんとも背筋が正されるようなポップスになっている。正座して聴くべきレベル。

 

おしえて / Avec Avec
Produced by Takuma Hosokawa

2012 年に公開されていた楽曲だったのを今頃知り、美しすぎて辛い一曲としてなんども聴き返している、非常に「エモい」作品。なにもかも、この渦のなかに、放り込めれば良いのに、というか、なんというか。この楽曲が含まれたフリーダウンロードできるアルバムには、坂本真綾が歌った「悲しくてやりきれない」のリミックスが入っており、それも必聴です。

 

ミュージック / DAOKO
Lyrics: DAOKO / Music: PARKGOLF, DAOKO / Arrange: PARKGOLF / Sound Produced by 片寄明人 (GREAT3, Chocolat & Akito)

ミュージック

ミュージック

  • DAOKO
  • Hip Hop/Rap
  • ¥250

川村元気トータルプロデュース!という凄まじい布陣でメジャーデビューを飾った DAOKO が自身の名をアルバムの名としたファーストは、tofubeats "水星" を彼女が「太陽が照らす小田急線内」というフレーズで歌いこなすところから始まる。が、聴けば聴くほど、どこにも DAOKO は見当たらない。その非実在性こそが彼女の大きな特徴だと、やっぱり思う。どれだけ日常的な歌詞やテーマを歌おうとも、いや、むしろ歌えば歌うほど、彼女はどこにも存在していないように感じられる。ラップの根本的なスタート地点が「オレはここでお前にこのことを伝えてるんやから、耳貸せ馬鹿野郎ども」なら、随分遠いところまで来た。しかしそれはまったくハッピーなことで。

 

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI / れるりり
作詞・作曲:れるりり

脳漿炸裂ガール feat.初音ミク、GUMI

脳漿炸裂ガール featuring 初音ミク, GUMI

  • れるりり
  • Anime
  • ¥250

仕事のイベントで数日間展示ブースに立ち尽くしていたときに、自社ブースでこの楽曲が鳴り続けていて、さすがに耳から離れなくなってしまった。それにしても、niconico 的な価値観もそうやし、僕が尊敬して止まないやくしまるえつこ先生もそうやけど、どうして「いま、このとき」を客観的に描いているなと思えるときに相応しい枕詞が「どうでもいいけど」なんやろう。システムの複雑性が高まるいっぽうである時流において、自らの領域を「いったん確保」するために持ち出す便利な言葉として「どうでもいいけど」は重宝するんやけど…少なくとも「どうでもいいけど」は、ゆとり・さとりからもたらされるバズワードではないとだけは思う。どうでもいいけど、の向こう側に、何を読み解くかが、まずスタート地点なのかもしれへん(か?)。

 

SOMINSAI featuring PUNPEE / RHYMESTER
Produced by PUNPEE (PSG) / Lyrics by Mummy-D, 宇多丸, PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

SOMINSAI feat. PUNPEE

「どうでもいいけど」と思いながらも、容易くそんなこと口にできないのが、社会人。とは言え、だからと言って誰かに責任転嫁するわけでもない。自分はあくまでも両義性の一方を担っているだけに過ぎず、他方が持っている論理というのは自らのそれと同様に尊重されるべき時代。とは分かりつつも、しかし、それを「頭で理解できても、身体は発作起こしてる」ときに、僕たちはその状況へどう立ち向かえば良いか。という点について、奇祭である「蘇民祭」をモチーフに許しを与えてくれる作品が、これ。今回のアルバムについてライムスが提示した「美しくあろうと願い続けること、それが唯一のプロテストである」については、昨年春に書いていた内容そのままで、本当に救われました。

 

POSITIVE (tofubeats demo vocal version) / tofubeats
Written by tofubeats / Programming by tofubeats / Guitar by ug noodle / Chorus by tofubeats, okadada

今年の下半期のテーマは間違いなく “POSITIVE” なのです。進歩史観よりも、ダンシン・スルー・ザ・ナイト。だいじょうぶ。